◎野党はカスティジョ大統領の不正を告発したロビイストの証言に焦点を合わせている。
2021年7月28日/ペルー、首都リマの就任式会場近く、ペドロ・カスティジョ大統領2(Guadalupe Pardo/AP通信)

ペルー共和国議会は14日、左派のペドロ・カスティジョ大統領に対する弾劾手続き開始を賛成多数で可決した。

地元メディアによると、議会は賛成76票ー反対41票で弾劾裁判の開始を承認したという。

野党のアルバ議会議長は声明で、「汚職疑惑に基づくカスティジョ大統領の弾劾手続きの開始を承認する」と述べた。

カスティジョ大統領または弁護士は3月28日に予定されている弾劾投票に出席する必要がある。

大統領を罷免するためには議会の3分の2以上の賛成(87票)が必要。

週末にイプソスが公表した世論調査によると、カスティジョ大統領の支持率は昨年7月の就任以来下がり続けており、最新の承認率は26%、不支持率は66%だった。

野党はカスティジョ大統領の不正を告発したロビイストの証言に焦点を合わせている。大統領は告発を否定している。

保守派のモントヤ議員は記者団に対し、「大統領は不正行為について、直ちに国民に説明しなければならない」と述べた。

また野党は、カスティジョ大統領が「隣国ボリビアに領土の一部使用を認め太平洋へのアクセスを認めることに前向きである」と述べたことを「反逆罪」と呼び、厳しく非難している。ボリビアは内陸国である。

カスティジョ大統領の追放を目指す試みは、昨年の大統領選で敗れたフジモリ・ケイコ氏の右派政党が中心となって行っている。

野党は昨年末にも弾劾手続きの開始を要求したが、必要な票を集めることはできなかった。

カスティジョ大統領は14日に行われたイベントの演説で、「15日に議会に行き、私がこの国のために行っていることを説明する」と述べた。

カスティジョ大統領のペルー・リブレ党と支持者は、罷免に必要な87票を集めることは不可能であり、弾劾手続きを「時間の無駄」と呼んでいる。

しかし、貧しい人々の支持を受けて大統領になった農村部の元教師は、政府高官のスキャンダルや様々な抗議デモの影響で支持を急速に失った。トンガの海底火山噴火後に発生した原油流出災害も危機に拍車をかけた。

カスティジョ大統領は閣僚を何度も入れ替え、先月4人目の首相を指名した。3人目の首相は2016年に家庭内暴力で訴えられていたことが明らかになり、わずか数日で辞任した。

ペルーの経済はコロナ危機を何とか乗り越え、2021年のGDPは前年比プラス13%を達成した。

市場はカスティジョ大統領はリベラルな政策を追求すると警戒していたが、中道の閣僚を何人も採用し、市場寄りの現実的な政策を取り始めている。

ペルーでは2016年以降、カスティジョ大統領を含めると5人の大統領が誕生している。2018年にはクチンスキ大統領が弾劾裁判前日に辞任し、2020年にはビスカラ大統領が罷免されている。

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