◎コロンビア内戦の犠牲者は45万人以上と推定されており、その大半が1985年~2018年の戦闘で死亡した。
コロンビアの左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」の戦闘員(Getty Images)

コロンビア政府は29日、同国最大の左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」の戦闘員が北部のパイプラインを襲撃し、陸軍の兵士9人を殺害したと発表した。

政府とELNは和平に向けた交渉を行っている最中である。

政府報道官によると、事件はベネズエラ国境に近いノルテデサンタンデール州で29日に発生した。

ELNは爆弾やライフルなどを使い、パイプラインを巡回していた部隊を攻撃。兵士9人が死亡、9人が負傷した。

ELNはこの攻撃に関する声明を出していない。

元左翼ゲリラのペトロ(Gustavo Petro)大統領は昨年8月の就任後まもなく、コロンビア内戦を終結させるためにELNとの和平を目指すと宣言。11月に交渉をスタートさせた。

ペトロ氏は29日、自身のツイッターアカウントに声明を投稿し、攻撃を「テロ」と糾弾した。

またペトロ氏は和平協議について、政府の交渉担当者と国際社会に取り組みの強化を求めた。「和平プロセスに参加する個人や団体はコロンビア社会と真剣に向き合い、責任を持たなければなりません...」

ELNは1960年代に学生、労働組合、神父らによって結成され、キューバ革命からインスピレーションを得たとされる。構成員数は2500~4000人と推定され、ベネズエラでも活動し、金鉱山での違法採掘や麻薬密売で利益を上げている。

政府は2016年にコロンビア革命軍(FARC)と和平協定を結んだが、一部地域、特にベネズエラ国境の広い範囲は現在もELNや麻薬カルテルの支配下に置かれている。

地元メディアによると、今回の攻撃で負傷した兵士はノルテデサンタンデール州中心部の病院に搬送されたという。容体は不明。

陸軍の報道官は声明で、「この部隊は国営石油会社のパイプラインとその周辺を巡回していた」と述べている。

今回の攻撃は和平交渉を頓挫させる可能性がある。

ドゥケ(Ivan Duque)前大統領は2019年、首都ボゴタの警察学校がELNに爆破され、士官候補生22人が死亡したことを受け、ELNとの和平交渉を打ち切った。

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