◎FARC-EMCはコロンビア革命軍(FARC)の元現地指揮官が率いている。FARCの戦闘員1万4000人以上が2016年の和平協定で武器を置いた。
コロンビア革命軍(FARC)の戦闘員(Getty Images)

コロンビア政府は22日、同国南部の先住民4人を殺害したとされるコロンビア革命軍(FARC)の分離組織との停戦協議を中断すると発表した。

政府とFARCは2016年に和平協定を結んだが、これに納得できない一部の勢力はFARCから離脱し、左翼ゲリラ「FARC-EMC」を結成した。

ペトロ(Gustavo Petro)大統領は22日、「FARC-EMCが停戦協議に応じないため、陸軍に攻撃再開を指示する予定だ」と声明を出した。

それによると、FARC-EMCは少なくとも4州に拠点を置き、南部地域で徴兵に応じなかった4人を処刑したという。そのうち3人は未成年と伝えられている。

ペトロ氏は声明の中で、「特定の領土における市民の生命・自由・尊厳が脅かされるのであれば、協議を行う意味がない」と述べている。

しかし、ペトロ氏は民間人への攻撃が確認されていない地域で活動するFARC-EMC分隊との停戦交渉は継続するとした。

地元メディアによると、南西部プトゥマヨ県で活動するFARC-EMC分隊は先週、同組織のゲリラキャンプから逃げ出した先住民族の男性4人を処刑したという。

ペトロ氏は20日の声明でこの事件を「戦争犯罪」と糾弾した。

FARC-EMCはコロンビア革命軍(FARC)の元現地指揮官が率いている。FARCの戦闘員1万4000人以上が2016年の和平協定で武器を置いた。

ペトロ氏は昨年末、同国最大の左翼ゲリラ「民族解放軍(ELN)」との和平交渉が順調に進んでいることを受け、他の組織への攻撃も停止するよう関係部門に命じた。

しかし、コロンビア内戦終結に向けた交渉は今のところ成果を上げておらず、一部地域における軍・警察への攻撃は止んだように見えるものの、市民への攻撃は続いている。

今年3月にはELNとつながりのある犯罪組織との停戦交渉が決裂した。

ELNも最近、ペトロ政権が示した和平案を断り、交渉を一時中断すると発表した。ELNはペトロ氏が「最近の若いゲリラ指導者は政治的な目的ではなく、麻薬カルテルの金目当てで活動している」と発言したことを批判していた。

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