◎事件は同州の州都ビトリアの東約80kmに位置するアラクルスにある小中学生が通う私立学校と公立学校で発生した。
ブラジル当局が公開した監視カメラの映像(Espirito Santo public security)

ブラジルの警察当局は26日、南東部エスピリトサント州の2つの学校で25日に発生した銃乱射事件について、容疑者の男が2年前から攻撃を計画していたと明らかにした。

事件は同州の州都ビトリアの東約80kmに位置するアラクルスにある小中学生が通う私立学校と公立学校で発生した。この攻撃で教師3人と生徒1人が死亡し、5人が病院で治療を受けている。2つの学校は同じ通りにある。

州知事は25日の声明で、「この公立学校に通っていたとみられる16歳の少年が逮捕された」と発表した。身元は明らかにされていない。

州公安警察によると、容疑者は家族の車で移動し、ナンバープレートを布で隠していたという。

警察は学校の防犯カメラの映像を公開している。それによると、容疑者は防弾チョッキを着用し、腕にナチスのシンボルである「ハーケンクロイツ(鉤十字:卍)」を付けていたという。

容疑者は公立学校の教師用ラウンジの鍵を壊して校内に侵入した。

警察によると、容疑者が使用した半自動小銃(セミオートマチック)は憲兵隊のもので、容疑者の父親の名前で登録されていたという。

ブラジルの学校で銃乱射事件が発生したのは2019年以来3年ぶり。

ビトリアの学校で今年8月に発生した襲撃事件でも元生徒が逮捕されている。容疑者はナイフと手製の爆薬を所持していたが、ケガ人は出なかった。

東部バイア州で9月に発生した事件では10代の少年が父親の銃を使って車イスの学生を射殺した。公安警察によると、この2つの事件の容疑者はインターネットで知り合い連絡を取り合っていたという。

2019年にサンパウロ州の学校で発生した銃乱射事件では8人が死亡。容疑者はこの学校の元学生2人で、自殺した。警察によると、2人は1999年の米コロンバイン高校銃乱射事件の影響を受けていたという。

エスピリトサント州の公安警察は声明で、「ヘイトクライムを含むあらゆる可能性を考慮して捜査を進めているが、現時点でハッキリしたことは言えない」と述べている。

一方、地元メディアは関係筋の話を引用し、「容疑者は精神科で治療を受けていた」と報じている。

公安警察は声明の中で、「これは暴力が身近にあることを示している」としたうえで、「精神衛生上の問題は個人や家族だけでなく、社会として対処しなければならない」と指摘した。

ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領は2019年に銃規制を一部緩和し、犯罪歴や精神疾患がないなどの条件を満たせば1人4丁まで銃を所持できるようになった。

地元メディアによると、ボルソナロ政権が出した40以上の政令により、武器の購入と登録が以前よりはるかに容易になったという。

ボルソナロ氏の支持者で著名なインフルエンサーは今年初め、「言論の自由を得るためにナチス党を作るべきだ」とポッドキャストで発言した。

ボルソナロ氏はこの発言を厳しく非難し、「ナチスと共産主義は絶対認めない」と明言した。

しかし、ボルソナロ氏は昨年、ヒトラー(Adolf Hitler)政権の閣僚の孫娘であるドイツの連邦議会議員、シュトルヒ(Beatrix von Storch)氏と写真を撮り、自慢していた。

シュトルヒ氏は極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の副議長を務めている。

アドルフ・ヒトラー(AFP通信)
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