◎決選投票は10月30日に行われる予定。

ブラジルで2日、大統領選第1ラウンドの投開票が行われた。

高等選挙裁判所によると、集計作業はほぼ終了し、左派のダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)元大統領が現職の極右ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領を上回ったものの、過半数には届かない見通し。

<2022ブラジル大統領選 開票率99%>
▽ダシルバ 57,255,683票(48.4%)
▽ボルソナロ 51,070,935票(43.2%)
▽無効票 5,452,520票
※3位以下割愛

ボルソナロ氏は世論調査の予想を大幅に上回る支持を集め、反対派を驚かせた。一部の地元紙はダシルバ氏が第1ラウンドで過半数を獲得すると予想していた。

調査会社ダッタフォーリャが1日に公表した最新の世論調査結果でも、ダシルバが第1ラウンドで過半数を獲得し、ボルソナロ氏は36%にとどまると予想されていた。

決選投票は10月30日に行われる予定。

両候補は支持者に「第1ラウンドで勝利するぞ」と呼びかけ、票集めに奔走した。

第1ラウンドで過半数を獲得したのは1998年のカルドーゾ(Fernando Henrique Cardoso)元大統領が最後である。

ダシルバ氏は2日、支持者に謝意を示し、「必ず勝つ」と宣言した。

ボルソナロ氏は首都ブラジリアの演説で、「必ず勝つ」と神に誓った。

ダシルバ氏は汚職裁判で有罪判決を受け、一時的に収監され、2018年の大統領選に出馬できなかったものの、そのカリスマ的な人気は衰えず、中道の一部と左派から支持を集めたようだ。

一方、メディアの世論調査を「偽情報」と批判していたボルソナロ氏は、「自分の予想通り、世論調査は間違っていた」と大喜びした。

2人は何年も前から対立してきた宿敵であり、選挙戦の大半をライバルの侮辱に費やした。

ボルソナロ氏は最後のテレビ討論でダシルバ氏が汚職容疑で580日間投獄されたことに言及。ダシルバ氏を「泥棒」と呼んだ。最高裁は事件を担当した当時の判事が偏見を持っていたとして、有罪判決を取り消している。

ダシルバ氏はボルソナロ氏を「ブラジルを破壊する狂人」と呼んだ。

両候補の対立は全国に波及し、南部パラナ州ではボルソナロ派がダシルバ派をナイフで刺し殺している。ツイッターに投稿されたある動画には、リオデジャネイロの街頭で「ダシルバは泥棒!」「ボルソナロと一緒に出ていけ!」と言い争う人々の姿が映っていた。

2人は政策でも対立している。

ダシルバ氏はアマゾンの熱帯雨林を守ると約束しているが、ボルソナロ氏は熱帯雨林の一部を開発し、そこにある資源を有効活用すべきと主張している。

ボルソナロ氏の任期中、森林伐採と森林火災が急増した。気候活動家は同氏が再選した場合、南米の気候変動問題は大きな転換点を迎える可能性があると警告している。

一部の専門家は2003~2010年まで大統領を務めたダシルバ氏の当時の政策に言及し、「環境に配慮するとは到底思えない」と指摘している。

多くの有権者が貧困を加速させる原因となった食料・燃料価格の高騰対策に力を入れてほしいと考えている。また、教育や不平等に対処する政策を求める有権者も多い。

ボルソナロ氏は選挙戦の中で「神だけが私を解任できる」と主張し、トランプ(Donald Trump)前米大統領のように敗北を受け入れず、暴動を煽るのではないかという懸念が高まっていた。

またボルソナロ氏は電子投票システムに疑問を投げかけ、証拠を提供せずに「システムには大きな欠陥がある」と指摘している。

両候補は30日までの4週間、第1ラウンドで他の9候補に投票した有権者の支持を集めることに注力するだろう。

ダシルバ氏は声明で、「戦いは続く」と宣言した。

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