◎ブラジル国内ではアマゾンの貴重な資源である金の売買の透明性が欠如しているという認識が高まっている。
金の延棒(Getty-Images)

ブラジル連邦警察は15日、米国に拠点を置く会社を通じて違法に輸出された金約13トン(20億レアル、3億8400万ドル)を押収する裁判所命令に基づき、捜査を開始した。

警察は15日付けの声明で、「この捜査に関連して、7つの州と連邦管区(首都ブラジリア)で27の捜索令状と3つの逮捕状を正式に発行した」と述べている。

ダシルバ政権は先月、アマゾンの熱帯雨林に暮らす先住民族ヤノマミが金の違法採掘による健康被害に苦しめられていることを受け、非常事態を宣言した。

この取り締まりは金の違法採掘と密輸を阻止するというダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)大統領の方針に基づいている。

アマゾンで違法採掘された金は近隣の都市に運ばれ、金融ブローカーに売却される。

アマゾンで採掘された金は採掘した場所などを示す証明書の発行を義務付けられているが、ブローカーはこれを行わず、中央銀行の監視を潜り抜けて金を売買する。

警察によると、違法取引に関わった組織は2020~22年の間に40億レアル超の金を取り引きし、英石油大手シェルの名を装って領収書を発行し、合法であるかのようにみせかけたという。

捜査の対象となった米国の会社はイタリア、スイス、UAE(アラブ首長国連邦)、香港のバイヤーに金を売りさばいていたようだ。

ブラジル国内ではアマゾンの貴重な資源である金の売買の透明性が欠如しているという認識が高まっている。市民はアマゾンの資源が国外に流出していることに怒りを募らせている。

ブラジル中銀は今週、金の採取場所などの追跡を容易にする新しい監視システムを構築するよう政府に提案した。

ヤノマミの人々は金の違法採掘による水源の汚染や不法投棄などの影響を受け、病気で亡くなった人も多数報告されている。

地元メディアによると、違法採掘業者は水銀を使った低コストな工法を採用することが多いという。

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