◎先住民族の土地で採掘された金塊は採掘者からブローカーにわたり、中には許可なく金塊を採掘し取引する業者もいると伝えられている。
2021年12月12日/ブラジル、首都ブラジリアの大統領宮殿前、ジャイール・ボルソナロ大統領(Eraldo Peres/AP通信)

2月14日、ブラジルのジャイール・ボルソナロ大統領は、アマゾンの熱帯雨林における金の採掘を後押しする2つの政令を発効した。

政令の1つ「職人的小規模採掘開発支援プログラム」は金の採掘とそれに関連する政策を活性化することを目的としている。官報には「アマゾンは鉱業の優先地域になる」と書かれている。

もうひとつの政令は既存の法律や規制を変更するもので、国の規制当局に提出する試掘の許可申請を簡略化するなど、業者の負担を軽減する内容になっている。

環境保護団体や先住民族の権利保護団体は政令について、「世界最大の熱帯雨林の違法開発と金の分離に使われる水銀による環境破壊を悪化させる」と懸念を表明した。

ボルソナロ大統領は2018年の大統領選挙でアマゾンの開発促進を公言し、膨大な鉱物資源で国を豊かにすると約束することで、多くの採掘業者から支持を集めた。

ブラジルのメディアによると、ボルソナロ大統領は10月の大統領選挙に立候補する可能性が高いという。

環境保護団体はボルソナロ大統領の政策が違法開発を後押しし、ゴールドラッシュに拍車をかけ、アマゾンの自然とそこで生活する人々に膨大な損害を与えていると警鐘を鳴らしている。

大統領府は14日の声明で、「採掘の規制緩和は、何十万人もの人々に富と収入をもたらす」と述べた。

先住民族の土地で採掘された金塊は採掘者からブローカーにわたり、中には許可なく金塊を採掘し取引する業者もいると伝えられている。金塊はサンパウロで精錬され、世界のサプライチェーンの一部になる。

ブラジルの環境シンクタンクは先週、2015年から2020年の間に採掘された金塊229トン(国内生産量のおよそ半分)が違法に取引されたという調査結果を公表した。

環境シンクタンクは規制当局の許可プロセスを簡素化すると、金で一儲けしたい業者の申請が急増し、規制当局は申請を流れ作業で処理するようになり、アマゾンは好き放題開発されるようになると警告した。

政令の1つには「職人的採掘」と呼ばれるものをサポートし、持続可能なものにする専門家委員会を設置すると書かれている。

しかし、アマゾンで採掘を行っている業者の大半は重機で溝を作ったり川をさらったりしているだけで、職人と呼べるような仕事はほとんど行っていない。

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