◎ボルソナロ大統領は6月15日、現在の福祉プログラムを少なくとも2か月間延長し、家族への補助金額を50%引き上げる意向であると発表した。
2021年5月26日/ブラジル、リオデジャネイロ州イタグァイー、ホームレスのテント(Getty Images/AFP通信)

ブラジルのジャイール・ボルソナロ大統領は先週、スーパーマーケットに食品の価格を下げるよう要請し、経済相はホームレスの市民にレストランの残り物を食べるよう提案した。

大統領と経済相は数日前の演説で、コロナ禍以前のレベルまで経済を回復させたと自慢していた。

ブラジルの経済は回復基調にあるが、貧困層の生活は以前より悪化したと伝えられている。

2021年第1四半期時点のブラジルの失業率は14.7%まで悪化し、経済的不平等は過去9年で最高レベルに達した。

食費、家賃、電気とガス料金の工面を諦め、ホームレスになる人が急増した結果、主要都市にはテントシティーと呼ばれる貧困街が出現した。地元メディアによると、記録的な干ばつの影響による電気料金のさらなる値上げが予想されており、貧困層の生活はさらに苦しくなる可能性があるという。

ゲトゥリオ・バルガス財団の社会政策センター所長を務めるマルセロ・ネリ氏は、「ブラジルは様々な問題を抱えている」と述べた。「...パンデミックは究極の試練と言っても過言ではありません。そして、私たちはコロナとの戦争で劣勢に立たされています」

ブラジルの5月末時点の失業者数は約1,500万人と推定されている。政府は昨年導入したパンデミック福祉プログラムで失業者と貧しい人々を支え、消費を刺激し、深刻な景気後退を何とか抑えた。

ブラジルには現在、約2,750万人の貧困層(月給220ドル未満で生活している世帯)がいると推定されており、連邦政府が福祉プログラムを中止した場合、その数は約3,450万人まで増加するという。

福祉プログラムは2020年末に一度打ち切られ、今年4月に復活したが、補助金の額は昨年より低くなった。支援を受けているリオデジャネイロのセルジオ・アルベス氏はAP通信の取材に対し、「補助金は主に電気料金の支払いに充てている」と述べた。

2021年5月26日/ブラジル、リオデジャネイロ州イタグァイーに形成されたテントシティー(Getty Images/AFP通信)

ボルソナロ大統領は6月15日、現在の福祉プログラムを少なくとも2か月間延長し、家族への補助金額を50%引き上げる意向であると発表した。「最も貧しい人々の生活は荒廃しています。横断歩道で水を売っている人、ビーチで爆竹を売っている人、広場で串刺し肉を売っている人、貧困層は4,000万人に達する勢いです」

リオデジャネイロ郊外のテントシティーで生活するホームレスは3,000人以上と伝えられている。ある女性はガスの代わりに薪で火を起こし、6人の子供の料理を作っていた。女性は地元メディアの取材に対し、「家賃と電気料金を支払うことができなかった」と述べた。

一部の自治体は、連邦政府の福祉プログラムを補完する独自の支援策を実行している。バイーア州の州都サルバドールは、毎月20,000人の対象者に270レアル(約6,000円)を支給している。

最大都市サンパウロ州は17日、貧困層約10万世帯に調理用ガスを毎月提供すると発表した。

食品飲料会社のネスレは飲料水500トンを寄付し、ビールメーカーのアンベブはコロナの影響で収入を失った露天商を支援した。鉱業大手のヴァーレは年末までに5つの州の約22万世帯にフードキット100万個を寄付すると発表した。リオの非営利団体は数千個のフードキットと温かい食事をテントシティーに提供している。

連邦政府も3月にフードキット数十万個を配布するプログラムを開始した。しかし、パウロ・ゲデス経済相は先週、ホームレスにレストランの残り物を食べるよう提案したことで「鈍感」と厳しく非難された。

ホームレスに残り物を食べろと提案したゲデス経済相はツイッターに、「私たちはこの困難な状況から抜け出す方法を話し合うべきです」と投稿した。「生産的かつ人道的な解決策を見つけましょう」

ブラジルは過去90年間で最悪の干ばつに直面しており、水力発電所のダムは枯れ、より高価な熱電発電で足りない電力を何とか賄っている。シンクタンクによると、来月の電気料金は少なくとも15%値上がりすると見積もられているという。

2021年3月12日/ブラジル、リオデジャネイロの市場(AP通信/Bruna Prado)
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