アルゼンチン南部パタゴニアで、メガラプトル、通称メガラプターの化石が発見された

メガラプトル(Megaraptor)」は、白亜紀後期(約9000万年前)の南米大陸周辺に生息していたとされる肉食恐竜である。アルゼンチン南部パタゴニアで発掘調査を行っていた古生物学者チームは、長さ35cmにもおよび長い鉤爪(かぎづめ)の化石などを発掘した。

メガラプトルは謎に包まれた恐竜である。発掘された化石は非常に少なく、どの科(類)に属すのかもハッキリしていない。一部の科学者たちはカルノサウルス類もしくはスピノサウルス類に属していたというが、メガラプトリダエ科やティラノサウルス類に近かったのではないか、という意見もある。

今回パタゴニアで化石を発掘したチームは、長い爪と尾を持つメガラプトルがティラノサウルスよりもはるかに俊敏で、草食の大型恐竜すら簡単に狩ったのではないかと考えている。

古生物学者のひとりは、「地球上から恐竜たちが何らかの理由で絶滅した時、この地にいたメガラプトルたちも世界を襲った大変革に巻き込まれ姿を消したのだろう」と述べた。

メガラプター

ブエノスアイレス自然科学博物館のフェルナンド・ノバス氏たちは、南部サンタクルス州エスタンシア・ラ・アニータで1カ月におよぶ野外調査を実施、多くの化石を発掘した。

その中でも最大級の発見がメガラプトル、通称「メガラプター」の化石だった。同地から発掘されたそれの化石は、脊椎、肋骨、胸、肩およびその周囲と考えられている。

今回発掘されたメガラプターの全長は、10mに達するという。これは、過去に発見された同種サイズの中でも最大級とされる。

ノバスはロイター通信に対し、「我々が発掘したメガラプターは、恐竜たちが絶滅する直前まで生きていたと考えられる。すなわち、”その瞬間”に立ち会ったのだろう。化石は約7000万年前のものと想定されており、恐竜時代の終わりを告げる”何か”と、彼らの生態を知ることができるかもしれない」と述べた。

メガラプターは長い鉤爪、長い尾、長い腕、バランスの取れた骨格と筋肉を持つ南米大陸の支配者だった。ティラノサウルスよりもスリムで俊敏。獲物を狩る際は、アゴでかみ砕くのではなく、長い鉤爪を使っていたと考えられている。

古生物学者のアランシア・ローランド氏はBBCの取材に対し、「今回の発見により、メガラプターの生態解明に一歩近づいた」と述べた。

映画「ジュラシック・パーク」に悪役恐竜として登場した「ヴェロキラプトル(Velociraptor」、通称ラプターは、全長2m~2.3mほどの小型肉食恐竜である。メガラプターと同じく長い鉤爪を有し、それを使って獲物の身体を引き裂き、狩りをしていたと考えられている。

メガラプター(メガラプトル)は南アメリカ大陸、ラプター(ヴェロキラプトル)は現在の東アジア周辺に存在したとされる巨大大陸に生息していた。親戚関係にあるか否かは分からないが、メガラプターの生態が解明されれば、恐竜映画の中で彼らのコラボする姿を見られるかもしれない。

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