◎共和党は昨年11月の選挙で下院の多数派を奪還した。
2023年1月5日/米ワシントンD.C.議会議事堂、共和党のマッカーシー下院院内総務(Julio Cortez/AP通信)

共和党のマッカーシー(Kevin McCarthy)下院院内総務は5日、下院議長を選出する投票で11度目の落選を果たし、米国の歴史にその名を刻んだ。

1回目の投票で下院議長を選出できなかったのは南北戦争以来の珍事。SNSユーザーはマッカーシー氏を「嫌われ者」「落選王」「裸の王様」などと呼び、嘲笑した。

共和党の右派勢力は3日目となる議長選出投票でも態度を改めず、マッカーシー氏に三下り半を突きつけた。

共和党は昨年11月の選挙で下院の多数派を奪還した。

民主党員は下院の行き詰まりを「恥」「嘆かわしい」「恥」と非難している。議長を選出しない限り、法案を審議することはできない。

しかし、下院は11回目の入札失敗を受け、休会した。

奴隷制の問題で米国に軋みが生じていた1860年以来、下院が議長を選ぶのにこれほど苦労したことはない。当時は44回投票を行ったと記録されている。

共和党の強硬派議員20人はマッカーシー氏の下院議長就任を拒否している。

強硬派はマッカーシー氏がトランプ(Donald Trump)前大統領の支持を受けているにもかかわらず、2021年1月の議会襲撃事件で「トランプ氏が事件を引き起こした」と非難したことを批判している。

反対派のひとりであるサウスカロライナ州選出のノーマン(Ralph Norman)議員はSNSに、「マッカーシーを信用していない」と投稿した。

ノーマン氏によると、マッカーシー氏の派閥は数週間前、「反対票を投じれば政治的報復をする」と脅迫したという。

ノーマン氏はAP通信の取材に対し、「我々は下院委員会から追い出されそうだった」と語った。「彼らは我々の仕事を奪い、下院から排除しようとしたのです」

「彼らは言いました。政権を取ろうとしている最も強力な人物を支持できないのであれば、あなたたちには退場してもらうと...」

民主党はペロシ(Nancy Pelosi)下院議長の後任であるジェフリーズ(Hakeem Jeffries)党首に票を投じ続けている。しかし、共和党員が造反する可能性は低いようだ。過半数獲得には6票必要である。

▽下院勢力 共和222ー民主212(欠員1)過半数218
▽上院勢力 共和49ー民主50(無所属1)過半数51

トランプ支持者による議会襲撃事件から2周年を迎える6日正午、分裂した共和党と民主党は再び議長選出に挑戦する予定だ。

マッカーシー氏は2019年から院内総務を務め、会派の9割を超える200人以上から支持を得ている。賛成派は共和党の政策に影響が出るとして、反対派に自制を求めている。

ペンシルベニア州選出のフィッツパトリック(Brian Fitzpatrick)議員は5日、SNSに投稿した声明で「私は非常に心配している」と述べた。同氏は「自分も他の委員も議長が宣誓するまで必要な仕事を行えず、重要な下院情報委員会のブリーフィングを受けることもできない」と深刻な懸念を表明した。

売春疑惑で注目を集めているフロリダ州選出のゲーツ(Matt Gaetz)議員はトランプ氏を議長に選出するよう求める抗議票を投じている。

ゲーツ氏は記者団に対し、「マッカーシーは選挙戦から撤退するか、自分を拘束する拘束衣を作るか選ぶ必要がある」と語った。

コロラド州選手のボーベルト(Lauren Boebert)議員は同僚にマッカーシー氏を乗り越えるよう促した。「共和党は考えをコロコロ変えるケビン・マッカーシーのような男の人生が今後どのようなものになるかしっかり見定めなければなりません...」

マッカーシー氏は議会における法案審議の条件を決める規則委員会への参加など、「反乱軍」に多くの譲歩を申し出ている。

6日の投票中、下院議長候補は同僚と肩を組み、語り合い、頼むから賛成してくれと懇願しているように見えた。

下院議長は大統領権限継承順位において、副大統領(上院議長兼務)に次ぐ第2位にあり、上院多数派の院内総務より上席である。

2023年1月5日/米ワシントンD.C.ホワイトハウス、バイデン大統領(Patrick Semansky/AP通信)
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