◎アフガン難民を支援する団体は昨年8月以降に米国に到着したアフガン難民に関連する条項が含まれていないことに深刻な懸念を表明した。
米ワシントンD.C.連邦議会(Getty Images)

上院は22日、軍事費を含む1兆6600億ドル規模の包括的歳出法案を賛成多数で可決したが、法的に行き詰まっているアフガン難民を支援する条項は含まれなかった。

上院は超党派の支持を得て、法案を賛成68ー反対29で可決した。報道によると、民主党が多数派を占める下院では23日中に可決される公算が大きく、バイデン(Joe Biden)大統領が署名すれば成立する。

これにより、来年9月30日までの予算は確保される見通しとなり、現行予算の期限切れにより政府機関の閉鎖は回避される。

予算の内訳は軍事費に約8580億ドル、様々な国内プログラムに7725億ドル、ウクライナへの軍事・経済援助に449億ドルなどとなっている。

民主党のシューマー(Chuck Schumer)上院院内総務は記者会見で、「これは最も重要な予算編成のひとつである」と述べた。

しかし、移民の権利やアフガン難民を支援する団体は昨年8月以降に米国に到着したアフガン難民に関連する条項が含まれていないことに深刻な懸念を表明した。

アフガン難民の多くは連邦政府の人道プログラムに基づいて米国に入国し、2年間は強制送還を免れることが保証された。しかし、その期限は来年夏に切れる。

超党派は別の解決策を提案した。アフガン難民に追加審査を受けてもらい、一定の要件を満たせば期間の延長または永続的な地位を付与するとした。

しかし、多くの共和党議員が安全保障を理由に条項を批判し、審査プロセスを厳格化しなければならないと表明した。結果、歳出法案に盛り込まれた条項は削除された。

米国に拠点を置く人権団体「Afghans For A Better Tomorrow」の責任者は声明で、「一部の上院議員の反移民感情が明らかになった」と述べている。「アフガン難民は裏切られたと感じるでしょう。彼らは窮地に立たされています...」

アフガン難民を支援する活動家グループは、「条項削除はタリバン政権による女子学生の大学就学禁止に続く悪いニュースだ」と非難した。

米国に拠点を置く人権団体「Project ANAR」などはウェブサイトに共同声明を掲載し、「アフガンやイスラム諸国からの移民・難民が安全保障上の脅威であるという認識は人種差別に根ざしたものだ」と指摘した。

Project ANARは声明の中で、「歳出法案へのアフガン法の追加を阻止したのは反移民、反イスラムを推進する上院議員であり、フィリバスター(議事妨害)を回避するためには共和党議員の支持が欠かせない」と懸念を表明した。

民主党はこの条項を単独法案として提出できるが、上院の少数政党に与えられている権利フィリバスターを阻止するためには60票以上の賛成票が必要であり、改選後の勢力(民50ー共49)でそれを確保するためには共和党議員の支持が欠かせない。

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