◎全米各地で11日に行われた銃規制強化を求める行進と集会には数万人が参加したと伝えられている。
2022年6月11日/カリフォルニア州、ロサンゼルスで開催された銃規制強化を求める行進(Keith Birmingham/The Orange County Register/AP通信)

上院の超党派グループは12日、銃規制法案骨子に合意したと発表した。

これには21歳以下の銃購入時のチェックを厳しくすることや、違法銃の取り締まりなどが含まれる。

現地メディアによると、上院の共和党員10人が骨子に賛成したという。

バイデン(Joe Biden)大統領は法案を「正しい方向への第一歩」と称賛したが、バイデン氏が求める銃規制には程遠いものであった。

全米各地で11日に行われた銃規制強化を求める行進と集会には数万人が参加したと伝えられている。

超党派グループは声明で、「我々は米国の子供たちを守り、学校を安全に保ち、暴力の脅威を減らすために、常識的な骨子を提示する」と述べている。

銃規制強化を求める人々は、「メンタルヘルス支援の強化」「学校の安全対策に必要な予算確保」「銃購入者の情報を一元管理する連邦政府主導のデータベース構築」などを求めている。

バイデン氏は議会にこの法案を速やかに成立させるよう促したが、同氏が求めている「殺傷能力の高い自動小銃の販売禁止」または「銃購入年齢の引き上げ」は含まれていない。

バイデン氏は声明で、「これは私が必要と考えるものを満たしていないが、正しい方向に進む重要な一歩であり、ここ数十年で最も重要な銃規制法案になるだろう」と述べた。

民主党のシューマー(Chuck Schumer)上院院内総務はこの法案を「第一歩」と呼び、法案がまとまり次第、採決するとした。

共和党のマコネル(Mitch McConnell)上院少数党首は骨子について、「対話と協力の成果を示している」と述べた。

またマコネル氏は、「超党派グループはメンタルヘルスや学校の安全といった重要な問題でも大きく前進した」と称賛した。「この法案が憲法修正第2条(武器保有権)を尊重し、上院で幅広い支持を集め、我が国に違いをもたらす法案になることを期待しています...」

一部の銃規制活動家も骨子を歓迎した。

11日の行進と集会を主催した銃規制を訴える団体「March For Our Lives(我々の命のための行進、MFOL)」は12日、「これは最初の一歩だ」とツイートした。

一方、全米ライフル協会(NRA)は法案が公表され次第対応するとした。「我々は憲法が保障する権利を覆そうとする試み、法を守る市民が自分自身や愛する人を守る基本的権利を奪おうとする試みに反対し続けます...」

共和党は憲法修正第2条「武器保有権」で定められている銃を保有する権利を侵害することはできないとしている。

共和党が銃規制法案に賛成したのはこの数十年で初めてであり、過去に民主党が提案した法案はことごとく廃案になった。

民主党は2012年にコネチカット州サンディフックで発生した小学校銃乱射事件(児童20人と女性職員6人死亡)後にも銃規制法案を提出したが、共和党の支持を得ることはできなかった。

上院の少数派に与えられている議事妨害を回避するためには上院の5分の3以上(60票)の賛成を集めなければならず、現在の勢力(民主党50ー共和党50)で阻止することはほぼ不可能。

今回の法案骨子を提出した超党派グループ20人のうち10人は共和党員であり、議事妨害の回避に必要な60票は確保できたとみられる。

民主党は先週、21歳未満の半自動式ライフルの購入や大容量弾倉の一般販売などを禁止する法案を賛成多数で可決したが、これが上院を通過する可能性はほとんどない。

2022年6月12日/ワシントンD.C.議会議事堂近く、銃規制法案の速やかな成立を求める民主党のマーフィー上院議員(Susan Walsh/AP通信)
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