◎連邦準備制度理事会(FRB)は借入コストを上げることで企業や家庭の消費を抑え、物価を押し下げたいと考えている。
イリノイ州シカゴの住宅地(Getty Images)

連邦準備制度理事会(FRB)の主要政策金利引き上げを受け、米国の住宅ローン金利が2008年の世界金融危機以来の高水準に達している。

30年物の住宅ローンの平均金利は今週、6.02%まで上昇。前年の2倍超に達した。

マイホームの購入を夢見る家族は「どうしたものか...」と頭を悩ませている。

FRBはロシアのウクライナ侵攻が引き起こしたインフレを抑えるために利上げを実施。こうなることは予想されていたものの、マイホームを購入したい低中所得者層は現実を受け入れられずにいる。

エコノミストは一連の金融引き締めとガソリン販売価格の値下がりでインフレは多少緩和されると予測していたが、8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.3%と高止まりし、株価を押し下げた。

米国のCPIは6月の9.1%から2カ月連続で低下したものの、それでも過去40年で最も高い水準を維持している。

この数字はエコノミストの予想を上回り、「FRBは今後も積極的な利上げを続けるのではないか」という憶測が生まれている。住宅ローン金利はこの動きを見越して上昇した。

連邦住宅貸付抵当公社「フレディマック(Freddie Mac)」のチーフエコノミストであるカテール(Sam Khater)氏は15日、「住宅ローン金利は今週、予想を上回る熱いで上昇し続け、2008年後半以来初めて6%を超えた」と述べた。

FRBは借入コストを上げることで企業や家庭の消費を抑え、物価を押し下げたいと考えている。

しかし、住宅市場では金利の上昇で販売が鈍化する一方、不動産価格は上昇し続けている。

全米の一般的な住宅価格は7月に40万ドル(約5800万円)を超え、前年同月比で10%以上上昇した。

カテール氏はレポートの中で、「金利の上昇は需要を減退させ、住宅価格に下落圧力をかけるだろうが、住宅市場の在庫は依然、不十分である」と述べている。

住宅ローン金利の急上昇は住宅市場に大きな変化をもたらす。リーマンショックに端を発する世界金融危機以来、FRBは景気を下支えするために金利を引き下げ、企業や個人の借り入れを支援してきた。

2020年にコロナが拡大すると、FRBは再び金利を引き下げ、結果、熱狂的な住宅投機時代が到来した。

この時代は2月のウクライナ侵攻で終わりを告げる。FRBはインフレ圧力を緩和するとして急な利上げに踏み切った。

一部の不動産業者やデベロッパーは時代の終わりを受け、人員削減に乗り出している。

2022年9月15日/ワシントンD.C.ホワイトハウス、演説するバイデン大統領(Andrew Harnik/AP通信)
スポンサーリンク