◎テントで生活する移民たちは今年のクリスマスを「地獄」と呼んでいる。
2022年12月22日/メキシコ、北部シウダーフアレスの教会、亡命希望者たち(Morgan Lee/AP通信)

メキシコ北部の米国国境付近に集まった何百人もの亡命希望者が、厳しい寒さの中、米政権が課した制限の解除を待っている。

米最高裁は今週、タイトル42と呼ばれる亡命希望者の審査を厳しくする法律を維持できると裁定した。

北米大陸で猛威を振るっている爆弾低気圧は国境付近の気温を押し下げた。テントで生活する移民たちは今年のクリスマスを「地獄」と呼んでいる。

メキシコ北部でテキサス州への入国を心待ちにするハイチ人の男性は24日、AP通信の取材に対し、「こんなクリスマスになるとは夢にも思っていなかった」と語った。「信じられない寒さだ...」

メキシコ北部シウダーフアレスなどの国境の町では数千人が屋外でキャンプ生活を送っている。メキシコ気象庁によると、この地域の24日の最低気温は氷点下まで下がったという。25日も0度と予想されている。

シウダーフアレスの国境検問所にはテキサス州エルパソに入りたい移民数百人が列を作った。米国立気象局(NWS)によると、エルパソの24日の最低気温はマイナス6度。子供を含む多くの移民が路上で寝泊まりしている。

ホンジュラスから来たという男性はAPに、「ここで2カ月待っている」と語った。「移民局に書類を提出して2カ月経ちます。妻と3人の子供も一緒です」

APによると、グアテマラ、エルサルバドル、キューバ、ニカラグア、ハイチなど、中米移民の入国手続きは数カ月待ちが当たり前だという。

タイトル42はトランプ政権が発効したものであり、人権団体や活動家から厳しく批判されている。民主党はこれを廃止したいとしているが、法案の上院通過には共和党の協力が欠かせない。

テキサス州政府は今週、エルパソ周辺で記録的な数の移民が不法入国し逮捕されたことを受け、州兵を国境に配備した。

メキシコ国境の避難所は数カ月前に定員オーバーとなり、多くの移民が氷点下の中、野宿している。

エルパソに住む男性は今週、サンタのコスチュームで移民の野営地を訪問し、子供にお菓子を配った。男性はAPの取材に対し、「米国が難しい問題を抱えていることは理解しているが、彼らを助けてほしい」と訴えた。

タイトル42は米国内で拘束された不法入国者を入国前の国(主にメキシコ)に戻し、法に基づいた亡命申請の機会を与えるとしている。

この制度は12月21日に失効する予定だったが、市民団体が異議を唱え、延長が決まった。最高裁は失効日を明言しておらず、さらなる混乱が予想される。

2022年12月24日/米ニューヨーク州バッファローの住宅地(Carolyn Thompson/AP通信)
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