◎米国とイランの代表団は先月末までイラン核合意復帰に向けた協議をカタールで行っていた。
2019年2月11日/イラン、首都テヘランで開催された1979年の革命を祝うイベント、星条旗を燃やす人々(Getty Images)

イラン核合意への復帰を目指す米バイデン政権は6日、イランに新たな制裁を科すと発表した。

財務省は追加制裁の対象について、イランの原油と石油化学製品を東アジアに輸入した個人及び団体としている。

米国とイランの代表団は先月末までイラン核合意復帰に向けた協議をカタールで行っていた。

トランプ(Donald Trump)前大統領は2018年にイラン核合意から離脱し、イランの外国資産を凍結したうえで、イランの原油、天然ガス、石油化学製品などに対する投資を禁止した。しかし、イランは制裁発動も中国などに原油を輸出し続けている。

ネルソン(Brian Nelson)財務次官(テロリズム・金融情報担当)は声明で、「米国はイラン核合意への復帰に向けた努力を続けているが、イランの原油や石油化学製品に対する制裁を執行するためにあらゆる権限を行使するつもりだ」と述べた。

制裁対象はイラン、UAE(アラブ首長国連邦)、香港に拠点を置く個人・企業数社。財務省はこれらの個人と企業について、「イランから東アジアに数億ドル相当のイラン産原油や石油化学製品の輸入・販売した」としている。

この制裁により、これらの個人と企業は米国内で保有する資産を凍結され、米国の金融システムから完全に切り離される。また米国民はこれらの企業と取引することを禁じられた。

国務省もイラン、ベトナム、シンガポールに拠点を置く企業にイラン関連の制裁を発動した。

ブリンケン(Antony Blinken)国務長官は声明で、「米国はイラン核合意に復帰するために外交の道を誠実かつ堅実に歩んできた」と述べ、イランを非難した。「イランは我々と同様のコミットメントを示さず、制裁を無視してきました。イランが軌道修正しない限り、我々は制裁を行使し続けるでしょう」

バイデン(Joe Biden)大統領と政府高官たちはイラン核合意への復帰を希望しているものの、トランプ政権の制裁を維持し、独自制裁を数十件科している。

バイデン氏は来週、イランの宿敵イスラエルとサウジアラビアを訪問する予定だが、イラン核合意に復帰する見込みは薄れつつある。ホワイトハウス高官は先週、イランが核開発を推進する限り、復帰の可能性は薄いと示唆していた。

EUは2021年4月に始まったウィーン協議で成果を期待できると希望を表明したが、結果はご覧の通りである。

イランは米国に制裁解除を求めている。これに対し米国は、イランが核開発を放棄すると約束しない限り、制裁解除はないとしている。

イランのアブドラヒアン(Hossein Amirabdollahian)外相は6日、EUのボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表と電話会談を行い、「核合意への復帰は相互理解と利益に基づいてのみ達成される」とツイートした。「我々は強力かつ耐久性のある協定を交渉する用意があります。米国は復帰を望むのか、それとも一方的な要求に固執するのか、決断しなければなりません」

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