◎バイデン大統領はイラク駐留米軍の戦闘任務は年末までに完了すると述べたが、イラクに駐留する米兵を現在の約2,500人から減らす計画があるかどうかについては明らかにしなかった。
2021年7月26日/ワシントンD.C.ホワイトハウスの大統領執務室、ジョー・バイデン大統領とイラクのムスタファ・アル・カディミ首相( Susan Walsh/AP通信)

アメリカのジョー・バイデン大統領は26日、イラクに駐留する米軍の戦闘任務は年末までに完了すると発表した。

バイデン大統領はイラク駐留米軍の戦闘任務は年末までに完了すると述べたが、イラクに駐留する米兵を現在の約2,500人から減らす計画があるかどうかについては明らかにしなかった。

2011年末に終結したイラク戦争と3年後に発生した新たな戦争、進行中のアフガン戦争、そしてシリア内戦は米軍に大きな負担をかけ、バイデン大統領が安全保障における最大の課題と考える中国への圧力を強化する妨げになっていた。

米軍はイラクと隣国シリアで広範な支援を提供してきた。イラク戦争終結から3年後、イラクの広範囲を占領したイスラム国(ISIS)の登場を受け、当時のバラク・オバマ大統領は再び米軍をイラクに送り出した。

バイデン大統領はイラクのムスタファ・アル・カディミ首相との首脳会談に先立ち、記者団に、「ホワイトハウスはイラクとのパートナーシップに引き続きコミットしている」と語った。

退役軍人の上級顧問であるダン・コールドウェル氏は戦闘任務の完了について、「米軍は危険にさらされ続けるだろう」と警告した。「米軍は戦闘任務を終えたとしても、イラクにとどまる限り、テロリストの攻撃にさらされ続けるでしょう...」

ISISを含むジハード組織は全ての米軍をイラクから追い出すことを望んでおり、米兵の駐留基地は定期的に攻撃を受けている。

バイデン大統領は記者団に対し、「米軍はISISグループとの戦いのためにイラクを支援し続ける」と約束し、「アメリカとイラクの共同声明の安全保障関係は、訓練、助言、情報共有に焦点を当てる」と述べた。「ISISに対する私たちの戦いは地域の安定のために欠かせないものであり、新しい段階に移行しても、私たちのテロ対策作戦は継続されます...」

駐留米軍のイラク治安部隊に対する訓練と助言に焦点を当てた役割への移行は今年4月に発表されていた。両国は共同声明の中で、「この移行により、イラクで活動する米軍の戦闘部隊はイラクから撤退することができる」と述べたが、撤退する兵士の数を含む詳細情報は明らかにされなかった。

ホワイトハウトのジェン・サキ報道官も、イラクにとどまる米兵の数を明らかにしなかった。「現地にとどまる兵士の数は、作戦の状況や時間と共に変化します。したがって、今はイラクの治安部隊により多くのアドバイスとトレーニングを提供する体制に移行する準備を進めることが重要です」

2017年、イラク政府はISISとの対テロ戦争に勝利したと宣言した。ISISを含むジハード組織はかつての勢いは失ったが、それでもイラクや近隣諸国で凶悪なテロ攻撃を継続している。先週バグダッド郊外で発生した爆弾テロの犠牲者は少なくとも30人と伝えられている。ISISは声明で、攻撃に関与したと述べた。

イラクのアル・カディミ首相はアメリカの支援に感謝すると述べた。

アル・カディミ首相はテロ攻撃だけでなくコロナの感染拡大にも悩まされており、広範な非難に直面している。イランの支援を受ける民兵はイラク国内で活発に活動しており、ここ数カ月で米軍駐留基地に対する攻撃を強化した。また、コロナの感染拡大は混乱に拍車をかけ、さらに先日発生したコロナ病棟の火災は国民の怒りに火をつけた。

アル・カディミ首相は先週末、AP通信のインタビューの中で、「イラクに外国の戦闘部隊は必要ありません」と語った。

米軍は2020年1月、バグダッド国際空港でイランの軍事司令官カセム・ソレイマニと上級イラク民兵司令官アブ・マフディ・アルムハンディスを殺害した。

ソレイマニ暗殺から数日後、イランの支援を受ける民兵はイラク西部のアルアサード空軍基地に弾道ミサイルを撃ち込み、数十人を死傷させた。

2021年7月26日/ワシントンD.C.ホワイトハウスの大統領執務室、ジョー・バイデン大統領とイラクのムスタファ・アル・カディミ首相( Susan Walsh/AP通信)
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