◎ホワイトハウスの法律顧問は、重要州の敗北を覆すトランプ氏の計画を「殺人・自殺協定(Murder-Suicide Pact)」と呼んだ。
2022年6月23日/ワシントンD.C.議会議事堂、2021年1月6日のDC暴動事件の下院公聴会(Jacquelyn Martin/AP通信)

米司法省の当局者は23日、トランプ(Donald Trump)前大統領の支持者が引き起こした昨年1月のDC暴動公聴会5日目で証言し、ホワイトハウスで繰り広げられた様々な事件について説明した。

司法省の高官は当時、トランプ氏が主張する大規模な選挙詐欺の証拠は「ゼロ」と述べていた。

ホワイトハウスの法律顧問は、重要州の敗北を覆すトランプ氏の計画を「殺人・自殺協定(Murder-Suicide Pact)」と呼んだ。

民主党員と共和党員で構成される下院の特別委員会は、トランプ氏がクーデター未遂に関わったことを明確にし、責任を取らせるとしている。

刑事告発に直面しているトランプ氏はこの委員会を「カンガルー法廷」と嘲笑し、現在進行中の「災害(食料や燃料価格の高騰など)」から有権者の目をそらすためのものと評している。

バイデン(Joe Biden)大統領の支持率が過去最低を更新する中、トランプ氏は2024年の大統領選に再び出馬する可能性を示唆している。

5日目の公聴会には、前司法長官代理のローゼン(Jeffrey Rosen)氏などが証人として出廷した。

ローゼン氏によると、トランプ氏は選挙で敗北が確定してから1月6日の襲撃事件までの間、ほぼ毎日ローゼン氏本人に接触していたという。「トランプ氏は司法省に選挙結果を疑問視する声明を出すよう求め、あとは私と共和党議員に任せてくれと言いました...」

ローゼン氏はトランプ氏の要請を拒否し、委員会に、「事実や法律に基づき、要請を適切とは考えられなかった」と述べた。

元副司法長官代理のドナヒュー(Richard Donoghue)氏は、「2020年12月の90分間の会話でトランプ氏の主張をひとつずつ叩き潰した」と証言した。

共和党のキンジンガー(Adam Kinzinger)下院議員は、「イタリアの衛星がトランプ氏の票をバイデン氏に変更したという胡散臭い主張をトランプ政権当局者が本気で調査した時期があった」と説明した。「あの調査はトランプ氏が権力を維持するために、自分の勝利を支持するインターネット世論をくまなく調べていたという最良の例のひとつです」

特別委員会は、「選挙を覆そうとするトランプ氏の試みを支持した少なくとも5人が、今後想定される裁判から身を守るために大統領恩赦を求めた」という証言を聞き、ため息をついた。

2022年6月21日/ワシントンD.C.議会議事堂、2021年1月6日のDC暴動事件の下院公聴会(Al Drago/Pool/AP通信)

ドナヒュー氏は2021年1月3日の夜にホワイトハウスで繰り広げられたトランプ氏と司法省の高官3人の会話について説明した。

トランプ氏はこの会合で、ローゼン氏の後任(司法長官)に司法省に関与したことのない環境保護弁護士のクラーク(Jeffrey Clark)氏という人物を任命すると説明した。

ドナヒュー氏は委員会に、「当時ホワイトハウスの法律顧問だったシポローネ(Pat Cipollone)氏はこの選出を殺人・自殺協定になると警告していた」と語った。

またドナヒュー氏はローゼン氏らと共に、「クラーク氏を司法長官に据えた場合、司法省から大量の離脱者が出るだろうとトランプ氏に警告した」と証言した。トランプ氏は最終的にこの計画を撤回した。

委員会はドナヒュー氏の証言後、「クラーク氏は自己破産しない権利を行使して、質問に答えることを拒否した」と述べた。米メディアはFBI(連邦捜査局)がクラーク氏の自宅を家宅捜索したと報じている。

米3大ネットワークはクラーク氏の家宅捜索について、「大統領選陰謀疑惑に関与した者が刑事告発される可能性が高まった」と報じている。

この日の公聴会では、共和党員6人が選挙結果への挑戦を支持したことで訴追された場合に備えて、トランプ氏に大統領恩赦を要求していたことも明らかになった。

<訴追回避恩赦を要求した共和党員>
▽アラバマ州:モー・ブルックス(Mo Brooks)下院議員
▽フロリダ州:マット・ゲッツ(Matt Gaetz)下院議員
▽ジョージア州:マージョリー・テイラー・グリーン(Marjorie Taylor Greene)下院議員
▽テキサス州:ルイ・ゴーマート(Louie Gohmert)下院議員
▽ペンシルベニア州:スコット・ペリー(Scott Perry)下院議員
▽アリゾナ州:アンディ・ビッグス(Andy Biggs)下院議員

委員会は来月さらに2回公聴会を開催し、報告書を作成する予定である。この報告書は司法省に提出され、訴追するか否かが検討されるものとみられる。

2021年1月6日/ワシントンD.C.議会議事堂(JoseLuis Magana/AP通信)
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