◎テキサス州の民主党員が定足数(議事を進め議決するのに必要な最小限の人数)を破ったのは5月末に続いて今年2回目。
2021年7月12日/テキサス州オースティンの空港、プライベートジェットに乗り込む同州の民党党員(Eric Gay/AP通信)

米主要メディアによると、テキサス州議会の民主党員は共和党の差別的な投票法案の可決を阻止するために、プライベートジェットで州を去ったという。

同州の民主党員が定足数(議事を進め議決するために必要な最小限の人数)を破ったのは5月末に続いて今年2回目。

同州オースティンの空港に集結した下院議員は50人以上と伝えられている。議員らはワシントンD.C.行きのプライベートジェット2機に分かれて乗り込んだ。

「赤い州」ことテキサス州の共和党員はドナルド・トランプ前大統領の遺言に基づき、投票を厳しく取り締まろうとしている。

共和党のグレッグ・アボット州知事は民主党員の高飛びから数時間後、地元メディアのインタビューの中で、「問題が解決するまで特別会期を召集し続ける」と誓った。「職務を放棄した民主党員は帰国後すぐ逮捕され、仕事が完了するまで議会議事堂に収容されるでしょう」

一方、ワシントンD.C.に到着したクリス・ターナー州下院議員は、「法案を殺すつもりです」と決意を新たにした。「私たちは動揺しません。この法案は殺さなければなりません...」

テキサス州議会を機能不全に陥らせた民主党員たちは、連邦レベルで投票の権利を確立すると約束したジョー・バイデン大統領に圧力をかけている。バイデン大統領は13日にペンシルベニア州フィラデルフィアで差別的な投票法の問題について演説を行う予定。

進歩的な民主党員はバイデン大統領の受け身の姿勢を厳しく非難しているが、連邦レベルの新しい投票法が成立する見通しは全く立っていない。

2021年5月30日/テキサス州の議会議事堂、ブラックコーカスの議長を務めるニコール コリアー州下院議員(Jay Janner/Austin American-Statesman/AP通信)

<テキサス州の投票法案の要点>
・ドライブスルー投票を禁止する。
・24時間投票所の開設を禁止する。
・郵便投票(期日前投票)用ドロップボックスの設置を禁止する。
・投票監視員の権限を強化する。

ワシントンD.C.に到着した民主党員たちは記者団に対し、「30日間の特別会期が終了するまでテキサスには戻らない」と述べた。

しかし、逃亡にはリスクが伴い、議事を回避したからといって勝利が保証されるわけでもない。テキサス州の共和党員は上下両院を支配しており、民主党の選択肢は限られている。仮に特別会期が終わるまでワシントンD.C.にとどまったとしても、アボット州知事は次の特別会期を召集すると誓っている。

またアボット州知事は5月末のストライキ後、議会議事堂の職員約2,000人の給与を拒否することで民主党員を罰した。この制裁は特別会期で否決可能だが、民主党員がストを継続すれば9月に発効する。

共和党のデイド・フェラン州下院議員は高飛びを非難したうえで、定足数を確保するために「利用可能なあらゆる措置を講じる」と述べた。

アボット州知事は先日、上下両院の議員に保守的なTodoリストを提供した。リストには学校で人種差別を教える方法を制限する法案や、トランスジェンダーアスリートの女子スポーツへの参加を禁止する法案などが含まれていた。

カマラ・ハリス副大統領は12日、テキサス州の民主党員の「勇気と献身」を称賛した。一方、同州のダン・パトリック副州知事は声明で、「法案は13日までに上院で可決されるだろう」と述べたが、民主党員を連れ戻す方法には言及しなかった。

2021年7月12日/テキサス州オースティンの空港近く、差別的な投票法案に反対する民主党支持者(Eric Gay/AP通信)
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