◎デモの参加者たちはテキサス州の中絶法に激しく反対し、憲法違反を速やかに是正するよう呼びかけた。
2021年10月2日/カリフォルニア州ロサンゼルス郡、テキサス州の中絶禁止法に反対する行進(Getty Images/AFP通信)

10月2日、全米50州とワシントンD.C.で女性の権利保護を訴えるデモや行進が開催された。

デモの参加者たちはテキサス州の中絶禁止法に激しく反対し、憲法違反を速やかに是正するよう呼びかけた。

テキサス州は先月、物議を醸す通称「ハートビート法(TX SB8)」を施行した。女性の性と健康を支援する非営利団体やアメリカ自由人権協会を含む権利団体は最高裁判所にこの州法の停止を求めたが、判事は訴えを棄却した。

これにより、1973年のロー対ウェイド判決で認められた中絶の権利が初めて覆されることになった。

※ロー対ウェイド事件(1973年):最高裁判所は妊娠中絶を「合衆国憲法で保障される権利」と認め、堕胎禁止を初めて違憲と認めた。

デモに参加した人々は、ハートビート法と同様の州法が他の州で施行されることを恐れている。テキサス州の裁判所はバイデン政権の訴えに基づき、今後数カ月以内にハートビート法の緊急差し止め請求を審理する予定。

ワシントンD.C.の最高裁判所周辺には大勢のデモ参加者が集まった。ワシントン・ポスト紙によると、中絶反対派と思われる約20人がデモ隊の前に立ちふさがったが、デモ参加者の歌と拍手に飲み込まれたという。ある男性は「あなたの手は罪のない赤ちゃんの血で汚れています!」と叫んだと伝えられている。

ロイター通信の取材に応じた女性活動家は、「テキサスの女性は違法な共和党の取り締まりに直面しています」と訴えた。「違法な共和党州政府は男性の権利を擁護し、女性の権利を踏みにじります!」

今回のデモは2017年のドナルド・トランプ大統領就任の翌日に勃発した抗議デモの主催団体が組織した。デモの規模は2017年に比べると縮小したが、全国で続いている。

主催団体の事務局長を務めるレイチェル・オリアリー・カルモナ氏は2日の声明で、「中絶は合法であり、テキサス州の差別法を却下する」と述べた。

デモ参加者は中絶法の反対だけでなく、コロナウイルスの感染拡大がもたらした失業と格差を是正するよう政府に求めた。

米主要メディアによると、パンデミック以来、女性労働者は男性より失業に悩まされ、男性より大きな介護負担に直面したことがデータで示されたという。主催団体のカルモナ氏は全米の各地で新たなデモを計画していると述べた。

一方、米司法省とテキサス州は1日、ハートビート法をめぐって州の裁判所で対決したが、判事は司法省が求めている州法の緊急差し止めの判決時期を明らかにしなかった。

最高裁判所は12月1日にミシシッピ州の「妊娠15週目以降の中絶を禁止する異議申し立て」を審理する予定である。判事がこの申し立てを支持すれば、再びロー対ウェイド判決は覆されることになる。

2021年10月2日/テキサス州オースティン、州政府の中絶禁止法に反対する集会(イブリン・ホックスタイン/ロイター通信)
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