◎プーチン氏は多少むくんでいるように見えるが、今年70歳になったことを考えると、むくみは避けられないように思える。
米中央情報局(CIA)のバーンズ(Bill Burns)長官は20日、プーチン(Vladimir Putin)大統領の健康状態が悪化しているという確かな情報はないと述べた。
バーンズ氏はコロラド州で開催されたアスペン安全保障フォーラムで講演し、一部メディアが報じているプーチン氏の重病説を立証する確かな証拠は今のところないと語った。
プーチン氏は多少むくんでいるように見えるが、今年70歳になったことを考えると、むくみは避けられないように思える。
バーンズ氏は「彼はとても元気そうに見える」と冗談を言い、観客を笑わせた。
一方、米国防長官は20日、ウクライナに高軌道ロケット砲システム「ハイマース」4基を通過供与すると発表し、同日ワシントンD.C.議会議事堂で演説したウクライナ大統領夫人の要請に応えた。
ハイマースを含む西側の長距離兵器は戦況に違いをもたらすと期待されている。ハイマースの供与数はこれで16基となった。
ウクライナ軍によると、ロシアは東部ドンバス地方への攻勢を強める一方、占領した南部ヘルソン州やザポリージャ州の守りを固めているという。
ロシアのラブロフ(Sergei Lavrov)外相は20日、国営メディアのインタビューの中で、「ロシアは東部以外の地域にも目を向けている」と述べ、戦略変更を示唆した。
バーンズ氏はプーチン重病説について、「多くの噂を聞いているが、我々が知る限り、彼は至って健康だ」と冗談を言い、「これはCIAの正式な見解ではない」とした。
駐モスクワ大使を務めたこともあるバーンズ氏は、20年以上にわたってプーチン氏を観察してきたと伝えられている。
バーンズ氏は「プーチン氏は支配、脅迫、仕返しを信奉し、この特性は過去10年間でさらに強まった」と説明した。「彼はロシアを大国として復活させることが自分の運命と信じています。そのためにはロシアの勢力圏を拡大する必要であり、ウクライナを併合しなければ目標は達成できないと考えているのです」
バーンズ氏は昨年11月にモスクワを訪問した際、ウクライナ侵攻は深刻な結果をもたらすと警告している。
バーンズ氏はウクライナ侵攻におけるロシア軍の損耗について、「兵士の死者は1万5000人、負傷者は4万5000人に達すると推定している」と説明し、ウクライナ軍の損耗はこれより少ないとした。
またバーンズ氏は、ロシア軍が東部ドンバスに兵力を集中させた理由について、「3月のキーウ撤退などで多くの厳しい教訓を学んだのだろう」とした。
ロシアは2月24日に侵攻を開始し、首都キーウに攻め込もうとしたが、ウクライナ軍の反撃を受け撤退を余儀なくされた。
一方、米国家安全保障会議は19日、ロシアがウクライナの占領地の併合計画を進めていると警告した。対象は南部ヘルソン州・東部ドネツク州・ルハンシク州の全域、南部ザポリージャ州の一部。
ロシアのラブロフ氏は、米国がウクライナに長距離兵器を供与したことで、ロシアの目標は広がったと示唆している。
しかし、オースティン(Lloyd Austin)米国防長官はラブロフ氏の警告を意に介さず、ハイマースの追加供与を発表した。
ウクライナのゼレンスカ(Olena Zelenska)大統領夫人は議会演説でさらなる兵器供与を求め、喫緊の課題は防空システムの強化とした。