◎トランプ大統領はジョージア州のブラッド・ラフェンスパーガー州務長官を脅迫した。
◎全米黒人地位向上協会(NAACP)デリック・ジョンソン会長「トランプによって提起された一連の訴訟および最新の脅迫攻撃はアフリカ系アメリカ人の有権者の尊厳を踏みにじった」
2020年12月5日 ロイター通信/ジョージア州ヴァルドスタ、トランプ大統領

1月4日、全米黒人地位向上協会(NAACP)は、「トランプ大統領の脅迫」に対する調査を関係当局に依頼したと述べた。

トランプ大統領はジョージア州のブラッド・ラフェンスパーガー州務長官に「11,780票を見つける」よう圧力をかけ、「私は勝ちたいんです」と嘆願した

<ジョージア州の選挙結果>
バイデン:2,473,633票
トランプ:2,461,854票(ー11,779票)
トランプ大統領が見つけてほしい票:11,780票

NAACPのデリック・ジョンソン会長はABCニュースの取材に対し、「トランプによって提起された一連の訴訟および最新の脅迫攻撃はアフリカ系アメリカ人の有権者の尊厳を踏みにじった」と主張した。

デリック・ジョンソン会長:
「トランプの脅迫は黒人の有権者に対する人種差別的な攻撃に他ならない。トランプはジョージアの有権者の票を燃やし、偽造しようとしている。この無駄な試みは犯罪行為のリストに追加される。トランプはアメリカの民主主義と黒人を踏みにじった」

2019年12月12日 AP通信/全米黒人地位向上協会のデリックジョンソン会長

ワシントン・ポスト紙が公開した音声データの中でトランプ大統領は、選挙結果を非難し、ジョー・バイデン氏の勝利は「不可能」であると主張したうえで、選挙陰謀説を熱烈に擁護した。

ドナルド・トランプ大統領(音声):
私はジョージアで勝ちたいんです。11,780票の差をひっくり返したいんです。私はジョージアで勝ちました。結果をひっくり返せばアメリカは繁栄します...」

ブラッド・ラフェンスパーガー州務長官(音声):
「大統領、あなたの課題はあなたが持っているデータが間違っているということです」

D・T(音声):
「ジョージアを失うなどあり得ません。接戦だったと聞いた時、私は勝利を確信しました。あなたは選挙結果に干渉しました。それは刑事犯罪であり、あなたは大きなリスクを背負うでしょう

「あなたは犯罪行為に加担しました。あなたは私の投票用紙を裁断し、アメリカの法律を犯しました。あなたは犯罪者です」

トランプ大統領の熱烈な脅迫攻撃は10分以上におよんだが、ラフェンスパーガー州務長官はこれを受け流したうえで、メディアに音声データを提供した。

NAACPのジョンソン会長は、「私たちは法律が平等に適用されることだけを求めている」と強調した。

2021年1月4日 ロイター通信/ジョージア州オーガスタ、ラファエル・ワーノック氏(左)とジョン・オソフ氏
2020年12月21日 ロイター通信/ジョージア州ミルトン、ケリー・レフラー上院議員とデイビッド・パデュー上院議員

トランプ大統領から脅迫されたラフェンスパーガー州務長官はABCニュースの取材に対し、「大統領は私を聴取した。私は大統領のデータの誤りを指摘したが、彼は聞く耳を持たなかった」と述べた。

ブラッド・ラフェンスパーガー州務長官:
「トランプ大統領は投票した死者は数百人にのぼった。私は死者を2人見つけた。これは不正のひとつに過ぎない。ジョージアのデータは間違っている、と言った」

一方、民主党のテッド・リュウ下院議員とキャスリーン・ライス下院議員は連邦捜査局(FBI)に書簡を送り、「トランプ大統領に対する即時の犯罪捜査を開始するよう求めた」と伝えられている。

カマラ・ハリス上院議員はトランプ大統領の脅迫を「大胆な権力乱用。言語道断」と非難した。

1月5日、ジョージアの決戦投票はバイデン氏の政権運営に極めて大きな影響を与える運命の1戦になる。

ジョージア州上院通常(開票率99%、2021年1月5日の決戦投票へ)
共和党 デイビッド・パデュー 49.7%
民主党 ジョン・オソフ 48%
・リバタ シェーン・ヘーゼル 2.3%

ジョージア州上院補欠(開票率98%、2021年1月5日の決戦投票へ)
共和党 ケリー・レフラー 25.9%
民主党 ラファエル・ワーノック 32.9%

現在の上院の勢力は「民主党48ー共和党50」。1月5日の決戦投票で民主党が2議席確保すれば、勢力は50ー50になり、カマラ・ハリス次期副大統領が決定票を投じる権利を得る

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