◎カトリック教会は、「生命は受胎に始まり、自然死まで保護されなければならない」としている。
バチカンのフランシスコ教皇は25日、サンピエトロ広場の説教で世界中の家族を称え、生命に無関心な「利己的」な決定を避けるよう促した。
教皇は米最高裁が24日に下した判決および、中絶に反対するとは明言しなかった。しかし、家族を守る必要性と、カトリック教会が西側諸国が中絶を受け入れる背景にあると考える「浪費の文化」を非難した。
「家庭は利己主義、個人主義、無関心と浪費の文化の毒に侵されています。その結果、歓迎と奉仕の精神がもたらすDNAが失われているのです。私たちはそれを許すべきではなく、これからも許さないようにしましょう」
教皇はカップルの恐怖や不安が新しい命をもたらしたいという願いを阻んでいると指摘し、利己的な欲望にしがみつかないよう呼びかけた。
「みなさん。私たちはかつての生活、欺瞞的な幻想を抱かせるかつての自由を懐かしまないよう求められているのです」
教皇は中絶に反対するカトリック教会の教えを強く支持し、人工中絶手術を殺し屋を雇うことと同一視している。しかし、同時に、中絶を行った女性に同情を示し、手術を受けた罪を赦すよう促している。
カトリック教会は、「生命は受胎に始まり、自然死まで保護されなければならない」としている。
教皇は世界家族会議 (World Meeting of Families)の最終日に説教を行った。この会議は教会関係者が特に困難な状況にある家族により良い司牧を提供できるようにすることを目的としており、数年おきに開催される。
一方、バチカン政府は米最高裁がロー対ウェイド裁判の判決を覆したことを歓迎している。
▽ロー対ウェイド事件(1973年):最高裁は妊娠中絶を「合衆国憲法で保障される権利」と認め、堕胎禁止を初めて違憲と認めた。
この判決により、全米のおよそ半分の州が中絶を禁止または制限すると予想されている。
ローマ法王庁生命アカデミーは24日、米最高裁の判決を歓迎したうえで、生命保護の必要性に関する議論を再開させ、「全世界に挑戦する」と述べた。イタリアを含む欧州のほとんどの国が中絶を認めている。
バチカンの日刊紙オッセルバトーレ・ロマーノは25日、「生命のために、常に」というタイトルの社説で、偏ったイデオロギー、母親の死亡率、貧しい女性が子供を生む際の有給育児休暇、その他の支援に関する懸念を考慮した対話に移行するよう世界に呼び掛けた。