◎トルドー首相は14日に緊急事態法を発動し、議会は先日これを事後承認した。
2022年2月23日/カナダ、首都オタワの議会議事堂近く(Adrian Wyld/The Canadian Press/AP通信)

2月23日、カナダのジャスティン・トルドー首相は首都オタワや他の都市で発生したコロナ抗議デモを抑えるために警察に付与した緊急権限を取り消すと発表した。

トルドー首相は記者会見の中で「脅威は続いている」と述べたが、市街地でデモを展開した抗議者がいなくなったことを受け、緊急事態は終了したと宣言した。

連邦政府と州政府のコロナウイルス対策に抗議するデモ、通称フリーダム・コンボイによる国境封鎖騒動は先週解消し、首都オタワのデモ隊も警察の取り締まりが強化されたことを受け、撤退した。

トルドー首相は記者団に対し、「本日付けで緊急事態法を終了する」と述べた。

トルドー首相は14日に緊急事態法を発動し、議会は先日これを事後承認した。

緊急事態法は特定地域の封鎖、警察の取り締まり強化、州兵の緊急配備、個人や法人の銀行口座の凍結などを可能にする。

抗議者たちはカナダと米国を行き来するトラック運転手にワクチン接種が義務付けられたことに反対し、絶対に諦めないと誓っていた。しかし、オタワや国境周辺に集まった人々はほぼすべて解散し、街はようやく日常を取り戻した。

トルドー首相は今週初め、オタワ郊外で新たな封鎖や取り締まりを実施するかもしれないと警告していた。公共安全省によると、先週末、ブリティッシュコロンビア州の国境を封鎖しようとする試みが確認されたという。

フリーダム・コンボイはカナダの礼節を揺るがし、フランス、ニュージーランド、オランダの極右を刺激し、国の基幹産業である自動車業界に打撃を与えた。

米ミネソタ州デトロイトとオンタリオ州ウィンザーを結ぶアンバサダー橋はほぼ1週間閉鎖され、両州に工場を持つGM、トヨタ、VWなどが生産停止やシフトの変更を余儀なくされた。この橋を通過する貨物は両国の貿易の25%以上に相当する。

議会議事堂周辺に集まった数百台のトラックは幹線道路を占領し、大音量で音楽を流し、クラクションを鳴らし、デモに批判的な小売店や食料品店は嫌がらせを受けたと伝えられている。

オタワ警察は18日にカナダ警察史上最大の取り締まりを開始し、デモ参加者を次々と逮捕し、19日には議会議事堂前の通りをほぼ一掃した。カナダ放送協会(CBC)によると、警察は200人近くを逮捕し、100台以上のトラックをレッカー移動したという。

また、多くの個人や団体が銀行口座を凍結された。連邦政府は19日の声明で、フリーダム・コンボイに関連する少なくとも76の銀行口座の320万カナダドル(約2.8億円)を凍結したと発表している。

カナダ連邦警察は23日の声明で、「銀行口座を凍結された人々はオタワの違法な抗議デモに深く関与した人々」と述べた。

オンタリオ州政府の報道官も23日に非常事態を終了すると発表したが、「警察は一部地域で進行中の抗議デモに対処しているため、法執行機関に与えた権限は維持する」と述べ、デモ隊に撤退を呼びかけた。

CBCによると、橋を含む重要なインフラの運用に影響を与えた個人または団体は1年以下の懲役刑と最高10万ドルの罰金を科される可能性がある。

一方、米国のコロナ制限撤廃を求めるカリフォルニア州のトラック運転手たちは23日、ワシントンD.C.に向け出発したとソーシャルメディアに投稿した。

NBCニュースによると、デモ隊の規模は数百人で、数十台のトラックと車両で東に向け進んでいるという。

国防総省はトラック運転手の襲撃に備え、非武装の州兵700人をワシントンD.C.に配備すると発表した。AP通信によると、ホワイトハウスと議会議事堂周辺には州兵だけでなくDC警察も配備される予定だという。

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