◎一般市民は原油ガス価格の高騰で困窮する一方、一部の企業はその恩恵を享受している。
2022年8月1日/ニューヨークの国連本部ビル、グテレス事務総長(Yuki Iwamura/AP通信)

国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は3日、ロシアのウクライナ侵攻を利用して利益を上げる強欲な石油・天然ガス企業に特別税を課すよう国際社会に呼びかけた。

原油とガス価格の高騰は世界規模の経済・食料危機に発展する一方、石油ガス企業の利益は軒並み過去最高を更新している。

グテレス氏は声明で、危機から利益を得る企業を「グロテスクで不道徳」と呼び、厳しく非難した。

一般市民は原油ガス価格の高騰で困窮する一方、一部の企業はその恩恵を享受している。

英エネルギー大手BPの利益はこの14年で最高を記録。シェルの4~6月期決算も過去最高を更新した。

エクソン、シェブロン、シェル、トタルエナジーズの大手エネルギー4社は直近の四半期で510億ドル近くを稼ぎ出し、前年同期のほぼ2倍の利益を上げた。

グテレス氏は「グロテスクで強欲な企業は、最も貧しい人々や最も弱い人々を罰しています」と述べ、各国政府に対応を求めた。「私はすべての政府に対し、過剰な利益に課税し、その資金をこの困難な時期を過ごす最も弱い人々を支援するために使うよう強く求めます」

イギリスは先月、エネルギー企業に対する25%の特別税(1回限り)を承認した。政府はこの課税で250億ポンドを調達し、一般家庭の電気・ガス料金を相殺するとしている。

イタリアなども同様の措置を取っている。

しかし、フランスの一部議員はこの提案を却下し、米国の共和党議員もやるべきではないと反対した。

共和党のロビー団体である米石油協会(API)の副会長は、「特別税を求める人々は何も理解していない」と不満を表明している。「政府はエネルギー供給を増やし、小売価格を引き下げることに集中すべきです。私たちの業界に課税すれば、今最も必要とされている設備投資を抑制することになるでしょう」

グテレス氏はエネルギー価格の高騰を放置すれば取り返しのつかない事態に発展すると警告した。「負債に溺れ、融資を受けられず、コロナの大流行から回復できずにいる多くの発展途上国は大打撃を受け、危機に瀕するでしょう。私たちは経済的、社会的、政治的な激変を目にしています。どの国も影響を避けることはできません」

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