◎デサンティス州知事は28日に「ゲイと言わないで(Don’t Say Gay)法」に署名した。
2022年3月28日/フロリダ州スプリングヒルの学校、「ゲイと言わないで」法案に署名するデサンティス州知事(Octavio-Jones/ロイター通信)

フロリダ州のLGBTQ権利擁護団体は31日、LGBTQの生徒とその家族を疎外しようとする法律が施行されたことを受け、同州のデサンティス州知事を提訴した。

デサンティス州知事は28日に「ゲイと言わないで(Don’t Say Gay)法」に署名した。これにより、フロリダ州内の幼稚園から小学3年生までの性的指向やLGBTなどに関する指導・授業は禁止されることになる。

権利団体イクヲリティー・フロリダとファミリー・イクヲリティーは31日、タラハシーの連邦裁判所に訴状を提出し、この法律は生徒と家族の言論の自由、平等、適正手続きという憲法で保障されている権利を侵害したと主張した。

また団体は、「国家の検閲によって若者の心を支配し、彼らの現実を否定することによってLGBTQの生活を貶めようとするこの試みは重大な権力の乱用である」と述べ、フロリダ州当局を厳しく非難した。

「米最高裁はLGBTQの人々とその家族が合衆国の憲法秩序の中で差別されることなく普通に生活できることを何度も認めています。フロリダ州は彼らのアイデンティティと尊厳を肯定する人がいる学校を罰し、追放し、無法者として扱おうとしています...」

フロリダ州法は、保護者が「ゲイと言わないで法」が適用されていないと考える場合、学区の費用で学校を訴えることを認めている。

ゲイと言わないで法は、「学校関係者や第三者による性的指向や性自認に関する指導は幼稚園から3年生まで、または州の基準に従って生徒の年齢や発達に適切でない方法で行ってはならない」と記している。

デサンティス州知事と他の共和党員は、法律は合理的であり、性的指向や性自認の話題は学校ではなく保護者が切り出すべきと主張している。

デサンティス州知事は28日の法案署名に先立ち、「我々は子供が必要とする教育を受けられるようにする」と述べ、喝采を浴びた。

しかし、ゲイと言わないで法の文言、特に「教室での指導」や「年齢に応じた」という文言は広く解釈され、議論も訴訟の対象になりかねず、教師がこの話題を完全に避けてしまうような雰囲気を作りかねないと指摘されている。

市民団体、進歩的な左派議員、著名人、企業などがLGBTQコミュニティーの権利を攻撃するものとして、この法律に反対の声を上げている。ジョー・バイデン大統領も先月、法案を「憎悪に満ちたもの」と表現した。

米国自由人権協会(ACLU)は今週、「この法律は差別的であり、学校で政治的検閲を受けずに情報を受け取る権利を持つフロリダ州の生徒と教師に打撃を与えるだろう」と述べた。「全米でトランスジェンダーに対する攻撃がエスカレートしている今、私たちはより包括的な教育を必要としています...」

訴訟は法律の停止を求めるもので、フロリダ州教育委員会やその他の教育関係者も被告として名を連ねている。

一方、ミゲル・カルドナ教育長官は31日、フロリダ州オーランドの学校でLGBTQの生徒とその家族に会い、この法律が彼らの生活にどのような影響を与えているかについて議論した。

バイデン政権は31日の「世界トランスジェンダー可視化の日」に合わせていくつかのイベントを開催した。

カルドナ教育長官は「多くのトランスジェンダーの生徒が学校で支援を受ける一方、一部の生徒は他人から敵意を向けられ、大きな困難に直面していることを知っている」と述べた。「困難にはLGBTQI+の生徒とその家族に対する嫌がらせ・いじめ・威嚇する州法が増えていることも含まれます」

2022年2月21日/フロリダ州スプリングヒル、「ゲイと言わないで」法案に反対する集会(Octavio-Jones/ロイター通信)
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