◎ハリス副大統領は税関国境警備局の処理センターを視察し、収容されている庇護希望者の子供と話し、現地の移民管理当局から施設の問題点や必要な対策について説明を受けた。
2021年6月25日/テキサス州エルパソ、カマラ・ハリス副大統領(ジャックリン・マーティン/AP通信)

アメリカのカマラ・ハリス副大統領は25日、南部テキサス州エルパソの国境施設を視察し、トランプ政権の移民政策を厳しく批判した。

ハリス副大統領は記者団に対し、「庇護希望者を政治の問題に巻き込むべきではない」と述べた。「アメリカの政策は思慮深く効果的でなければなりません...」

ジョー・バイデン大統領は中米諸国の庇護希望者に関連する問題で非難に直面しており、メキシコの壁を建設した共和党はバイデン政権の政策をこきおろした。

ハリス副大統領は税関国境警備局の処理センターを視察し、収容されている庇護希望者の子供と話し、現地の移民管理当局から施設の問題点や必要な対策について説明を受けた。しかし、移民問題の解決に向けた民主党の法案は共和党にブロックされており、議会を通過する目途は立っていない。

ハリス副大統領は今月始めの中米歴訪で国境施設の視察を拒否したと主要メディアから非難されたが、「大げさなジェスチャーではなく、結果に焦点を合わせなければならない」と主張し、非難を却下した。

一部の専門家はエルパソではなく現場の最前線を視察すべきだったと指摘している。ハリス副大統領をエルパソを選択した理由について、「ドナルド・トランプ前大統領の非人道的な政策が最初に反映された地域だった」と説明した。

「前政権の子供分離政策の問題点が最初に明らかになったのはエルパソでした。エルパソは災害の震源地になったのです。トランプ政権は庇護希望者に裁定が終わるまで待て、国境の向こう側で待てと言い、移民の受け入れを拒みました」

一緒に現場を視察したアレハンドロ・マヨルカス国土安全保障長官は「ハリス副大統領を特別に招待した」と述べ、国境問題の責任は副大統領ではなく自分にあると強調した。政府は先行き不透明な移民問題でハリス副大統領のキャリアに傷がつくことを恐れていると信じられている。

2021年6月25日/テキサス州エルパソの国境警備局、カマラ・ハリス副大統領とアレハンドロ・マヨルカス国土安全保障長官(中央左)(Getty Images/AFP通信)

共和党員はハリス副大統領の視察を撮影会と厳しく非難した。

保守派の代表格でミニトランプと呼ばれているテキサス州のテッド・クルーズ上院議員は25日、「バイデンは人身売買組織と麻薬カルテルのために水門を開いた」と非難した。

トランプ前大統領は25日、極めて保守的なニュースマックスのインタビューの中で、「ハリス副大統領は平和なエルパソではなく、本当の国境を見学するべきだった」と述べた。

ハリス副大統領はメキシコ、エルサルバドル、グアテマラなどの中米諸国の移民問題の根本原因に対処するようバイデン大統領に命じられて以来、共和党の攻撃の矢面に立ってきた。ハリス副大統領は経済的および人道的援助を通じてこれらの国の生活環境を改善し、自国にとどまりたいと思わせるような政策に焦点を当てると強調してきた。

一方、共和党は2022年の上院中間選挙を意識し、民主党の弱みにつけこむ、または新たな弱みを見つけることを目指しており、「バイデン政権は庇護希望者を打ち負かしている」と全国各地で吹聴した。

トランプ前大統領と共和党御一行様は来週この地域を散策する予定と伝えられている。

他の行政当局者は施設の問題解決を目指して現地に足しげく通っているが、バイデン大統領とハリス副大統領は就任以来一度も現地を視察していなかったため、一部の民主党員は「共和党との議論を諦めたのではないか」と懸念を表明した。

テキサス州選出の民主党員、ヘンリー・クエラー下院議員はAP通信の取材に対し、「バイデン政権のせいで、民主党員は弱く見える」と語った。クエラー下院議員は昨年の選挙で共和党候補と大接戦を演じ、僅差で勝利した。

各社の世論調査の結果、回答者の半数以上がバイデン大統領の移民政策に納得していないことが判明し、共和党は民主党に対する攻撃を強化した。さらに、ハリス副大統領は今月初めのグアテマラ訪問で移民希望者に「来ないで!」と繰り返し呼びかけ、物議を醸した。

ハリス副大統領の来ないで発言は一部の進歩的な民主党員の怒りにふれ、リベラル代表のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員に火をつけた。

バイデン大統領が2024年の大統領選挙に出馬しなかった場合、ハリス副大統領は民主党の主要候補になると考えられているが、極めて解決困難な移民問題を主導し失敗したという実績は大きな足かせになる可能性がある。

ハリス副大統領は記者団に対し、「政権はこの5カ月で進歩を遂げた」と述べた。「まだやるべきことはたくさんあります。しかし、私たちは進歩しました...」

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