◎バイデン大統領は31日、G20の気候変動対策は不十分であることを認めた。
2021年10月31日/イタリア、ローマで開催されたG20サミット、ジョー・バイデン大統領(Evan Vucci/AP通信)

10月31日、ジョー・バイデン大統領はG20ローマサミットの首脳宣言を擁護し、サウジアラビア、中国、ロシアは十分な気候変動対策を設定していないと述べた。

バイデン大統領は再生可能エネルギーの開発に約9,000億ドル(約100兆円)の予算を投じる計画を推進している。議会は今週法案を採決する予定。この法案は米国の港やインフラを改修し、同時に労働者の賃金を引き上げると見込まれており、西側諸国の主要な指導者はバイデン大統領の政策をほぼ信頼している。

しかし、バイデン大統領は31日、G20の気候変動対策は不十分であることを認めた。国連と世界の気候活動家はバイデン大統領がサウジ、中国、ロシアの気候変動対策をより野心的なものに引き上げてくれると信じていたが、3カ国は2050年までにネットゼロ(温室効果ガスの排出量正味ゼロ)を達成するという目標を後退させた。

バイデン大統領は記者団に対し、「首脳宣言は指導者間の交流からもたらされた」と述べる一方、G20のリーダーはさらに多くの進歩を遂げる必要があると強調した。「私たちはさらに多くのことをしなければなりません。G20はサウジ、中国、ロシアがしていないことに焦点を合わせ続ける必要があります...」

G20はコロナワクチンの全世界完全接種率を来年末までに70%まで引き上げ、開発途上国の気候対策を支援するために年間1,000億ドル(約11兆円)を拠出し、ビッグ・テックを打ち負かす最低法人税率15%ルールを承認し、貧しい国々に対する石炭火力発電所建設への資金提供を停止することなどに合意したが、宣言の中に2050年までにカーボンニュートラルを達成するという文言は含まれなかった。

バイデン大統領はサミットの中で、サプライチェーンに関する会議を来年主催し、海運の問題を解消する新しい計画に資金を提供すると発表した。また、ドナルド・トランプ前大統領の時代に生じたEUとの関税に関するゴタゴタと、豪仏の潜水艦問題を概ね解消した。

バイデン大統領は31日にトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領とも会談した。政権の高官によると、会談は難民の人権問題やトルコによるロシアのミサイルシステム購入問題を抱えているにもかかわらず、穏やかに進んだという。

G20の首脳は31日に開幕したCOP26の首脳級会議でもう一度気候変動について協議する。

バイデン大統領は記者のひとりに、「あなたは気候変動対策を推進すると言いながら米国内のガソリン価格を引き下げるために、石油輸出国に輸出量を増やすよう要求している」と矛盾を指摘されたが、これを却下した。

「ガソリンを使わないという考えは現実的ではありません。米国の経済を支える労働者は車で通勤しています。ガソリン単価の上昇は労働者の生活に深刻な影響を与えるでしょう。つまり、矛盾しているという指摘は誤りです...」

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