◎捜索隊は解体に先立ち、既存の瓦礫を防水シートで覆い、爆破により発生する破片とホコリから保護した。
2021年7月4日/フロリダ州サーフサイドのチャンプレインタワーズ、爆破解体の瞬間(AP通信/Lynne Sladky)

7月4日、フロリダ州当局は、マイアミデイド郡サーフサイドのビル崩壊事故で何とか原型を保っていたビルの残りの部分を爆破解体した

チャンプレインタワーズサウスビル(南棟:12階建て)の一部は6月24日の午前1時15分頃に崩壊した。当局は熱帯低気圧が接近していることを受け、安全上の懸念から残りの部分を解体することに決めた。

これまでに7歳の少女を含む24人の死亡が確認された。行方不明者は4日時点で121人。

捜索活動は崩壊を免れた不安定な残骸の影響で何度も中断を余儀なくされたが、捜索隊は爆破完了の合図を受け、作業を再開することができた。当局は先日の声明で、爆破後15分から1時間で捜索を再開できると述べていた。

マイアミデイド郡のダニエラ・レヴィンカヴァ市長は4日遅くの記者会見で、「捜索隊は24時間体制を維持します」と述べた。

24日の崩壊から数時間後以来、生存者は1人も確認されていない。

2021年6月24日/フロリダ州サーフサイドにあるチャンプレインタワーズの南棟(エイミー・ベス・ベネット/サウスフロリダサンセンチネル/AP通信)

ハリケーンエルザは7月6日頃にフロリダ州に接近すると予想されており、不安定な残骸が強風で崩壊する可能性があると指摘されていた。

サーフサイドのチャールズ・バーケット市長は4日、「強風で残骸の一部が崩壊すれば、地上で活動している捜索隊の命を危険にさらす可能性がある」と述べた。

また、「爆破解体のプロフェッショナルは残骸の崩壊方向や影響範囲を制御するだけでなく、既存の瓦礫の約3分の1を切り開く可能性もある」と強調した。

捜索隊は解体に先立ち、既存の瓦礫を防水シートで覆い、爆破により発生する破片とホコリから保護した。

マイアミデイド郡のレヴィンカヴァ市長は周辺住民に、爆破完了から少なくとも2時間は屋内にとどまり、全ての窓を閉めるようアドバイスしたうえで、解体の重要性をあらためて強調した。「残骸を撤去できれば、特に残骸に最も近いエリアの捜索効率と安全性は劇的に向上します...」

またレヴィンカヴァ市長は行方不明者の家族に哀悼の意を表し、崩壊を免れた入居者に対しても、「自宅を解体することはとても心苦しい」と述べ、2日に爆破を許可する命令に署名したと明らかにした。

当局によると、捜索隊は赤外線カメラ付きのドローンを使って残骸に取り残されたペットや生き物がいないかをチェックしたという。捜索の結果、ビル内に取り残された生き物はいなかった。

行方不明者の家族は、3日の捜索活動中断後に爆破解体の実施を告げられた。入居者に対する補償があるかどうかは明らかにされていない。

当局は築40年のチャンプレインタワーズサウスビルが崩壊した原因を調査している。

2018年10月に行われた現場調査によると、ビル内のプールデッキとエントランス下の防水がうまく機能していなかったことが分かったという。防水の問題と崩壊の因果関係は不明。

またフロリダ国際大学のマイアミ環境研究所が2020年に実施した別の調査によると、当該地域では1993年から1999年にかけて地盤沈下の兆候が見られたという。しかし、調査の結果、地盤沈下や土地の段階的な変異がビルに影響を与える可能性はないと判断された。

2021年7月4日/フロリダ州サーフサイドのチャンプレインタワーズ、爆破解体の瞬間(AP通信/Lynne Sladky)

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