◎米国の8月の消費者物価指数(CPI)はFRBの利上げにもかかわらず、前年同月比8.3%と高止まりし、株価を押し下げている。
ウォール街の投資家は20日、連邦準備制度理事会(FRB)が劇的な利上げでインフレと対決すると予想されることを受け、売りに走った。
米国の8月の消費者物価指数(CPI)はFRBの利上げにもかかわらず、前年同月比8.3%と高止まりし、株価を押し下げている。
インフレは食料価格を押し上げ、低中所得者層に圧力をかけ、株価とバイデン(Joe Biden)大統領の支持率を押し下げている。
米主要メディアは21日に何かしらの動きがあると報じている。パウエル(Jerome Powell)議長は主要政策金利の引き上げが「諸刃の剣」であることを認めたうえで、インフレ抑止を最優先事項に掲げている。
FRBはこの数カ月、利上げで景気と需要を抑えることでインフレを抑制しようと試みてきた。しかし、このやり方は米国を景気後退に陥れ、数百万人を失業させるおそれがある。
パウエル氏は今月初め、「FRBはインフレ抑制のために率直に、強く行動しなければならない」と語った。
こうした発言と先週のCPIの組み合わせから、多くのエコノミストが21日に主要政策金利が再び0.75%引き上げられると予想している。
一部のエコノミストはこの40年間行われていない1%の利上げに踏み切ると予想した。
FRBは過去2回の会合で金利をそれぞれ0.75%引き上げている。この規模の利上げが行われたのは1994年以来約30年ぶりであった。
しかし、利上げの効果は限定的で、CPIは6月の9.1%から2カ月連続で低下したものの、それでも過去40年で最も高い水準を維持している。7月は8.5%だった。
労働省によると、一部の物価は大きく下落している。8月のガス代は10.6%下落した。
しかし、金利上昇は経済の主要部門に圧力をかけている。例えば住宅ローン金利は2008年の世界金融危機以来の高水準に達し、30年物の住宅ローンの平均金利は先週6%を超え、前年の2倍超に達した。
その一方で不動産価格は上昇し続けている。全米の一般的な住宅価格は7月に40万ドル(約5800万円)を超え、前年同月比で10%以上上昇した。
それでも、他の指標は米国経済が引き続き堅調であることを示している。
労働統計局が今月公表したデータによると、8月の米国経済は新規雇用が大きく減少したものの、堅調さを維持し、31万5000人の雇用増となった。失業率は3.7%に悪化している。
主要株価指数は20日終値で、利上げが予想されることを受け1%下落。ダウ工業株30種平均は約300ポイント下落した。