◎消費者物価指数(CP)は昨夏のピークから大幅に低下したが、それでもFRBの目標値である2%を大きく上回っている。
米連邦準備制度理事会のパウエル議長(Getty-Images)

連邦準備制度理事会(FRB)は3日、フェデラルファンド(FF、短期借入)金利の誘導目標を0.25%引き上げ、5.00~5.25%とした。

政策金利の引き上げはこれで10会合連続。ファースト・リパブリック銀行の破綻から2日後の決定となった。

米政府が先週示した2023年第1四半期(1~3月)の経済成長は鈍化を示していた。変動型ローンを組む多くの米国民がローンの返済に苦心し、企業も借り入れを控えている。

FRBは経済の混乱緩和よりインフレ対策に力を入れている。

消費者物価指数(CP)は昨夏のピークから大幅に低下したが、それでもFRBの目標値である2%を大きく上回っている。

パウエル(Jerome Powell)議長は記者会見でインフレを抑制するというFRBの姿勢を強調したが、次回会合では金利を据え置く可能性があると示唆した。

またパウエル氏は「インフレ圧力は依然として高い」とし、目標値の2%に戻すにはかなりの時間がかかると述べた。

FRBの声明からは前回会合時の「いくつかの追加的な金融政策引き締めが適切になるかもしれない」という文言が削除された。

パウエル氏はこの削除について、「意味がある」と述べ、「次回以降(の利上げ)はデータ次第」とした。

FRBの利上げは米国の銀行が直面する金融危機の一因となった。

利上げにより、長期国債や住宅ローンの価値は下がり、一部の銀行のバランスシートに穴をあけた。

3月以降、全米30行のうち3行が破綻。高金利が破綻の一因となった。

各行は保険未加入の預金者を相当数抱えている。

FRBは声明の中で、米国の金融システムの安定性を肯定しつつも、高金利が融資環境を冷え込ませる可能性が高いと認めた。

FRBは「米国の銀行システムは健全で弾力的」としている。「家計と企業の信用状況の悪化は経済活動、雇用、インフレに重くのしかかる可能性がある。これらの影響の程度は依然として不透明である」

FRBは景気を減速させ需要を遮断することでインフレを抑制しようとしているが、この方法は米国経済を不況に陥れ、何百万人もの失業者を出す恐れがある。

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