◎マスク氏はジョー・バイデン大統領が提案した「ビリオネア税」に反対しており、今回の動きはそれにあらためて反対する意思表明と見なされている。
2020年9月3日/ドイツ、グリューンハイデのテスラ工場近く、イーロン・マスクCEO(ロイター通信)

11月6日、テスラ社のイーロン・マスクCEOは6,200万人以上のツイッターフォロワーに保有する株式の10%を売却すべきかどうかを尋ね、回答者の過半数が「YES」に投票すれば売却するとツイートした。投票は7日午後に締め切られる。

締め切り4時間前の時点でYESに投票した人の割合は57.2%、NOは42.8%だった。

マスク氏はジョー・バイデン大統領が提案した「ビリオネア税」に反対しており、今回の動きはそれにあらためて反対する意思表明と見なされている。

民主党によると、ビリオネア税は3年連続で年収が1億ドル(約110億円)以上または、資産10億ドル(約1,100億円)以上の納税者に適用されるという。対象者は米国の人口(約3億3,000万人)の0.001%未満にあたる700~800人と伝えられている。

また、億万長者は保有する株式を売却しなくても、「株の価値が上がることで発生する利益」に課税される可能性がある。合衆国憲法は、「個人の資産は売却した時のみ課税の対象になる」と定めている。

マスク氏は約束通りテスラ社の株式約210億ドル(約2.4兆円)を売却した場合、多額の税金を請求されることになる。マスク氏は2,000億ドル以上のテスラ株を保有している。

未売却の株式に課税するという民主党の提案は、米国の経済発展に寄与してきた億万長者に打撃を与える可能性があると考えられている。一部の専門家は「資産の価値は常に上がるとは限らない」と指摘しているが、反対派は「現金を持っていない億万長者は株を売却せざるを得ない」と反論している。

マスク氏は6日のツイートで、「私は現金給与やボーナスを受け取っておらず、株式しか持っていないため、税金を支払う唯一の方法は株を売ることだ」と述べた。

約2.4兆円のギャンブル世論調査に金融市場は困惑した。ベンチャー投資家のチャマス・パリハピティヤ氏は「大衆がテスラ社の株式売却を決めようとしている」とツイートした。

バークレー大学のエコノミスト、ガブリエル・ズックマン准教授は、「世論調査で税金の支払い有無が決まる時代が来ないことを願っている」とツイートした。

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