◎トランプ氏は凍結を解除されてもツイッターに戻らないかもしれない。
ドナルド・トランプ前大統領(Getty Images)

テスラ社のマスク(Elon Musk)CEOのツイッター買収を受け、トランプ(Donald Trump)前大統領のアカウント凍結解除が現実味を帯びてきた。

トランプ氏は昨年1月の議会襲撃事件後、ツイッターアカウントを失った。

ツイッター社は当時、トランプ氏のツイートが新たな暴力につながる恐れがあるとしてアカウントを凍結した。

トランプ氏はこれを「検閲」と呼び、ツイッター、フェイスブック(メタ社)、グーグルを提訴したが、裁判所はこの訴えを退けている。

しかし、マスク氏の管理下に置かれたツイッター社はトランプ氏の凍結を解除するかもしれない。

マスク氏は28日、同社に「投稿監視(コンテンツモデレーション)評議会」を設置すると発表した。

マスク氏によると、この評議会はユーザーの投稿内容やアカウント凍結解除に関する方針を決めるという。

またマスク氏はツイッターの投稿で、「この評議会が招集されるまで、コンテンツに関する重大決定やアカウントの凍結解除は行わない」とした。

マスク氏はツイッター社の取締役を一掃し、まもなく新体制に移行する予定だ。

トランプ氏がツイッターに帰還すれば、共和党支持者は大喜びするだろう。言論の自由を推進するマスク氏も復帰を当然と考えるかもしれない。

トランプ氏はツイッターが大好きだった。連投は当たり前。会議中にスマートフォンを触っている様子を何度も撮影されている。

トランプ氏のフォロワーは凍結された時点で8000万人を超えていた。

トランプ氏はリベラル派のメディアを嫌う一方、ツイートでメディアの注目を集めることは大好きだった。トランプ氏が一言つぶやけば、世界のメディアが「トランプはこうツイートした」と報じた。

しかし、時代は変わった。トランプ氏は凍結を解除されてもツイッターに戻らないかもしれない。

トランプ氏は現在、ソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」を運営する企業を所有している。

これはツイッターとほぼ同じ機能を有すが、トランプ氏曰わく、「真実」を投稿できるという。ただし、利用規約はしっかり定められており、投稿できるものとできないものもリスト化されている。

トランプ氏はこのSNSを所有しており、そのユーザー数は収益に直結する。

トランプ氏はツイッターでつぶやいても一銭も貰えない。しかし、トゥルース・ソーシャルでつぶやき、ユーザーを増やすことができれば、増益につながる。

しかし、アプリ分析会社のセンサータワー(Sensor Tower)によると、トゥルース・ソーシャルはツイッターの足元にも及ばない弱小アプリである。

それによると、トゥルース・ソーシャルの先月のインストール数はわずか9万2000回だった。ツイッターは同期間で1400万回以上インストールされたと推定されている。

トランプ氏の影響力をもってしても、ツイッターには歯が立たなかった。

トランプ氏はトゥルース・ソーシャルを所有する限り、それにコメントを投稿し続ける可能性が高い。

トランプ氏はマスク氏がツイッターを買収すると表明した時、「ツイッターに戻るつもりはない」と述べていた。

しかし、多くのSNSユーザー、特に共和党ユーザーは「トランプ氏とそのアドバイザーたちは2024年の大統領選を見据え、二刀流に踏み切る」と予想している。

ただし、ツイッターをやめた方が有利という意見もある。

トランプ氏はSNSで世界の注目を集めた。

しかし、一部の共和党員は国民の注意を引く乱暴なツイートが無党派層に受け入れられず、トランプ氏だけでなく共和党の支持率低下につながる可能性があると考えている。

そして、トランプ氏が仮に凍結解除を望んだとしても、それが叶うと決まったわけではない。

マスク氏は28日のツイートで、「凍結アカウントを解除するか否かは評議会が決める」と説明した。

このシステムはトランプ氏のアカウントを少なくとも2年間凍結すると判断したフェイスブックの監視委員会によく似ている。フェイスブックは来年1月に凍結を維持するか否かを判断する予定だ。

トランプ氏もマスク氏もツイッターの優秀な使い手である。トランプ氏が復帰した場合、すぐ嬉しそうにツイートする姿が目に浮かぶ。「帰ってきたぞ!」

ドナルド・トランプ前大統領(Getty Images)
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