◎米国のテレビ局は気球が「バフン!」と破裂し、海上に落下する様子を一斉に報じた。
2023年2月4日/米ノースカロライナ州上空、中国のスパイ気球と民間の航空機(Brian Branch/AP通信)

国防総省は4日、領空をふわふわと漂う怪しげな中国のスパイ気球を撃墜したと発表した。

報道官によると、F22戦闘機は大西洋上でAIM-9Xサイドワインダーを気球に撃ち込んだという。

この作戦の影響で3つの空港および、ノースカロライナとサウスカロライナ両州の空域が閉鎖された。

米国のテレビ局は気球が「バフン!」と破裂し、海上に落下する様子を一斉に報じた。

国防総省の報道官は記者団に対し、「気球は東部標準時14時39分に沿岸から約6カイリの地点に落下した」と説明した。

バイデン(Joe Biden)大統領は怪しげな共産党バルーンの侵入を許して以来、撃墜するよう圧力をかけられていた。

この問題は米中の外交危機に拍車をかけ、ブリンケン(Antony Blinken)国務長官は訪中を延期した。

中国共産党はスパイ気球という疑惑を否定し、「民間の気象観測船がふわふわと米領空に迷い込んだ」と主張した。

米当局は共産党版スパイ大作戦の証拠を回収する取り組みを進めている。

報道官によると、気球が落下した地点に回収用の大型クレーンを搭載した艦艇を含む海軍の艦艇2隻を派遣したという。

また報道官は「破片はサウスカロライナ州沿岸の水深約14mの地点、予想より浅いところに着水した」と語った。回収にかかる時間は明らかにしなかった。

バイデン氏は2日に気球撃墜を承認したが、国防総省は地上に落下物が降り注ぐ可能性があるとして、気球が海上に出るまで待つことにした。

連邦航空局(FAA)は4日午後、サウスカロライナ州沿岸の3つの空港に対し、「国家安全保障の取り組み」を理由にすべての民間旅客機の運航停止を命じた。

沿岸警備隊もこの地域から離れるよう周辺船舶に勧告した。

気球撃墜後、バイデン氏は声明を発表。「気球を無事撃墜した飛行士たちを褒めたい」と述べた。

AP通信は目撃者の話を引用し、「ミサイルが発射される前に、3機の戦闘機が旋回するところを見た」と報じている。「その後、バルーンはバフン!と割れました」

国防総省は4日の記者会見で、「気球は1月28日に米領空に侵入し、3日後にカナダ領空に移動。1月31日に米領空に再侵入した」と明らかにした。

気球が目撃されたモンタナ州には米軍の核ミサイル発射場がある。

米国と中国の関係はこの事件により悪化し、国防総省は「米国の主権に対する容認できない侵害である」と糾弾した。

ブリンケン氏は5日に訪中する予定だったが、中国の「無責任な行為」が続く中で協議を行う意味はないと怒りを表明した。

しかし、共産党は4日に発表した声明で、「双方は正式に外相会談の日程を発表していなかった」と主張した。

中国外務省は「米国のメディアと一部の政治家が根拠のない憶測を広め、中国の信頼を失墜させようとしている」と非難した。

一方、国防総省は3日、怪しげな中国のスパイ気球が南米コスタリカとベネズエラの上空でも目撃されたと発表した。

中国は2機目の気球に関する声明を出していない。

2012年2月17日/カリフォルニア州ロサンゼルスの会議場、バイデン副大統領と習近平 国家副主席(Getty Images/AFP通信)
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