◎オタワ警察は170人以上を逮捕し、市街地の道路に違法駐車していたトラック38台を押収した。
2022年2月19日/カナダ、首都オタワの議会議事堂近く、警察とデモ隊(Robert Bumsted/AP通信)

2月19日、カナダ警察は首都オタワの中心部で3週間以上にわたって抗議デモを行っていた人々の一部を逮捕し、議会議事堂周辺のトラックを排除した。

カナダ放送協会(CBC)によると、オタワ警察は170人以上を逮捕し、市街地の道路に違法駐車していたトラック38台を押収したという。

連邦政府と州政府のコロナウイルス対策に抗議するデモ、通称フリーダム・コンボイによる国境封鎖騒動は今週何とか解消したものの、オタワの抗議者は抵抗を続けていた。

抗議者たちはカナダと米国を行き来するトラック運転手にワクチン接種が義務付けられたことに反対している。

警察の取り締まりに抵抗した一部の抗議者は地面に投げ出され、手錠をかけられた。

オタワ警察の署長は記者団に対し、「作戦は進行中であり、市街地が正常を取り戻すまで取り締まりを続ける」と述べた。

警察は14日に発動された緊急事態法に基づき、デモ隊に違法駐車をやめ、市中心部から退去するよう何度も呼びかけていた。

CBCによると、一部のデモ参加者は議会議事堂近くから別のエリアに移動したという。今回の取り締まりはカナダ警察史上最大と伝えられている。

オタワ警察は一部の抗議者に唐辛子スプレーを使用したとツイッターに投稿し、「警察官に対する暴力行為も取り締まりの対象になる」と警告した。

一部の抗議者はオタワ警察の退去命令を拒否し、警察官の前で列を組み、国歌を歌った。

オタワ警察はツイッターに、「抗議者たちよ、私たちは立ち去るよう何度も警告した」と投稿した。「私たちは立ち去る時間を与えた。私たちはゆっくり丁寧に対応したのに、あなたたちは警官や馬(騎馬隊)に暴行を加えた。警察は暴力を容認せず、警棒と唐辛子スプレーで対応する」

オタワ警察によると、逮捕された抗議者の中にはボディーアーマーを着用し、花火や発煙筒を所持していた者もいたという。

警察署長は抗議デモに子供を連れてきた保護者を批判し、「違法な活動に未成年者を連れてきた人は5年以下の懲役刑もしくは罰金刑を科される可能性がある」と警告した。

また警察署長は、「一部の抗議者は警察官に石や瓶を投げつけ、ガスボンベを爆発させようとした者もいた」と明らかにした。

フリーダム・コンボイの主催団体は19日の声明で、抗議者に中心街から離れるよう呼びかけた。

オタワの住民は警察の取り締まりをおおむね歓迎している。ある女性はAP通信の取材に対し、「トラックのクラクション、排気ガス、大音量で流れる音楽、渋滞にウンザリしている」と語った。

オタワ警察は違法な抗議デモに関する調査は終わっておらず、「調査は今後数カ月続く」と述べている。CBCによると、警察は違法駐車、騒音、市内の小売店に対する脅迫などの調査を進めているという。

オタワ警察は17日に市中心部に検問所を100箇所ほど設置し、新たな抗議者の流入を阻止していた。

一部の野党議員は政府のコロナ対策を批判し、フリーダム・コンボイに賛同していたが、国の基幹産業である自動車業界に影響が及んだことで対応を一変させた。

当局は先週末、オンタリオ州ウィンザーと米ミシガン州デトロイトを結ぶアンバサダー橋の封鎖を解除した。両州に拠点を置くGM、トヨタ、フォルクスワーゲン、その他の会社や部品メーカーは国境閉鎖の影響で減産や工業閉鎖を余儀なくされた。

オタワ以外の抗議デモはほとんど解散したと伝えられている。

一方、議会下院は19日、ジャスティン・トルドー首相が発出した緊急事態法について議論した。連邦政府は来週初めまでに上下両院の事後承認を得る必要があり、どちらかが否決すればその時点で緊急事態法は取り消される。

連邦政府は19日の声明で、フリーダム・コンボイに関連する少なくとも76の銀行口座の320万カナダドル(約2.8億円)を凍結したと発表した。

オンタリオ州地方裁判所は、フリーダム・コンボイを支援するために世界中から集められた数百万ドル(暗号通貨を含む)の凍結を承認している。

抗議者たちはGive Send Goと呼ばれるキャンペーンのクラウドファンディングで寄付を呼びかけ、800万ドル(9.3億円)以上を調達したと伝えられている。

2022年2月19日/カナダ、首都オタワの議会議事堂近く、警察とデモ隊(ロイター通信)
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