◎現政権の任期は2023年10月だったが、トルドー首相は与党カナダ自由党の過半数獲得を目指し、解散総選挙を決断した。
2021年7月26日/カナダ、オンタリオ州オタワ、ジャスティン・トルドー首相とメアリー・サイモン総督(ポール・チアソン/AP通信)

9月2日、カナダのジャスティン・トルドー首相は今月20日に予定されている総選挙(連邦選挙)に伴う最初の党首討論会で、コロナ禍にもかかわらず議会を解散させた自分の決定を擁護した。

現政権の任期は2023年10月だったが、トルドー首相は与党カナダ自由党の過半数獲得を目指し、解散総選挙を決断した。

カナダ自由党は2019年の総選挙で過半数を失い、法案の可決には反対派の支持が必要不可欠になった。

<2019年のカナダ連邦選挙:定数338>
カナダ自由党 157議席(中道~中道左派)
カナダ保守党 121議席(保守)
ブロック・ケベコワ 32議席(中道左派)
新民主党 24議席(中道左派)
緑の党 3議席

トルドー首相は保守党のライバル、エリン・オウトゥール党首との厳しい戦いに直面している。最新の世論調査によると、自由党は劣勢に立たされており、保守党に第一党を奪われる可能性すらあるという。

オウトゥール議員は討論会の中でトルドー首相に、「なぜ第4波の最中に議会を解散したのか?」と質問した。

トルドー首相は有権者から委任状を得る必要があると答えた。「カナダ人の約80%が正しい決断をしました。進行中の第4波はまだワクチンを接種していない20%が引き起こしています。カナダは20%のために国の機能を停止すべきですか?私はそうは思いません...」

カナダのコロナワクチン展開は大成功を収めており、少なくとも1回接種した12歳以上の割合は82%以上、接種を終えた人はまもなく75%に到達する。

<カナダのワクチン接種率:8月27日時点>
少なくとも1回接種:12歳以上の82.72%
少なくとも1回接種:総人口の72.50%
接種完了:12歳以上の74.85%
接種完了:総人口の65.49%

トルドー首相はワクチン接種の推進に否定的なオウトゥール議員を批判した。これに対しオウトゥール議員は、「迅速検査や社会的距離のルールを確立することで、ワクチンを接種していない人々に配慮することができると信じている」と応戦した。

最大都市ケベック州やオンタリオ州を含む4つの州では、レストランやジムを利用する際のワクチンパスポートシステムを導入している。

コロナワクチンの展開に成功したトルドー首相はこの流れを利用して一気に過半数を獲得したいと目論んでいるが、カナダは現在、デルタ株の感染拡大に悩まされており、ワクチン展開の勢いを選挙に持ち込めるかどうかは不透明な情勢である。

モントリオールにあるマギル大学のダニエル・ベラン教授は、「トルドー首相はリベラル派の後押しを受け、前進できるかもしれない」と語った。「トルドー首相の現在の支持率は就任時ほど高くはありませんが、少なくともリベラル派は彼の背中を押すと思います...」

トルドー首相は総選挙に先立ち、「10月末までに官僚、輸送業務に従事する労働者、およびカナダ全土の航空および鉄道旅行者にコロナワクチン接種を義務付ける」と発表したが、詳細はまだ明らかにされていない。中道左派の新民主党はこの計画を支持したが、保守党は激しく反発している。

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