◎ウィスコンシン大学ミルウォーキー校の天体物理学者で、研究の共著者であるパトリック・ブレイディ教授は今回の観測について、「ブラックホールは中性子星を食べて大きくなった」と述べた。
2021年6月29日/ブラックホールに引き寄せられる中性子星のイメージ図(Carl Knox/OzGrav/Swinburne University Australia/AP通信)

天文学者チームは宇宙で最も密度の高い天体と考えられている中性子星がブラックホールに飲み込まれる瞬間を目撃した。中性子星は小さじ1杯で40億トンほどの質量があると推定されている。

ブラックホールは穴ではなく強い重力を持つ天体で、光ですらその重力から逃げることはできない。ブラックホールと中性子星はどちらも宇宙の化け物であり、ブラックホールは中性子星や地球より大きいと考えられている。

事件から10日後、天文学者は宇宙の反対側で同様の事件を目撃した。

天文学者は中性子星が飲み込まれる直前の最後の500軌道(500周)を目撃したと述べた。500軌道の所要時間は1分もかからず、観測可能な宇宙の可視光と同じ量のエネルギーを短時間生成したという。

ウィスコンシン大学ミルウォーキー校の天体物理学者で、研究の共著者であるパトリック・ブレイディ教授は今回の観測について、「ブラックホールは中性子星を食べて大きくなった」と述べた。

2020年1月5日に検出された最初の衝突では、太陽の質量の6.5倍のブラックホールが太陽の質量の1.5倍の中性子星に衝突し、それから10日後、太陽の質量の10倍のブラックホールが太陽の質量の2倍の中性子星を飲み込んだという。

天文学者は2つのブラックホールおよび、2つの中性子星が互いに衝突するところを観測したことはあったが、ブラックホールと中性子星の衝突を観測したのは今回が初めてだった。

ブレイディ教授は報告の中で、「中性子星は大きな天体が超新星爆発を起こした後に残る死骸であり、非常に高密度で、太陽の質量の1.5~2.0倍の質量を持ち、直径は約10kmほど」と述べている。

ブラックホールはさらに大きな天体が崩壊した際に生成されると考えられている。

天文学者たちは中性子星とブラックホールの衝突は各地で発生していると考えているが、天の川銀河内ではまだ確認されていない。

レーザー干渉計重力波観測所(LIGO)のチームは18ヵ国の科学者1,300人以上で構成され、2台の重力波検出器「Advanced LIGO」などを使って宇宙の秘密を解き明かそうとしている。

<宇宙のデータ>
地球の質量:5.972×10^24 kg

・太陽の質量:1.989×10^30 kg(地球の33万倍)

・標準的なブラックホールの質量:太陽の1.5倍~2.0倍

・超大質量ブラックホールの質量:太陽の10^5倍~10^10倍

・地球の直径:12,742m

・太陽の直径:1,392,700 km

・標準的なブラックホールの直径:地球よりは大きい

・超大質量ブラックホールの直径:相当大きい

2021年6月29日/ブラックホールに引き寄せられる中性子星のイメージ図(Soheb Mandhai/LIGO India/AP通信)
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