◎バイデン大統領は粉ミルク不足の解消を「最優先事項のひとつ」とし、粉ミルク作戦の開始を宣言した。
2022年5月18日/ワシントンD.C.ホワイトハウス、粉ミルク危機に対処する国防生産法に署名するバイデン大統領(White House/ABCニュース)

米国のバイデン(Joe Biden)大統領は18日、進行中の粉ミルク危機に対処する国防生産法を発動した。

ホワイトハウスによると、この措置は企業に必要な原料を届け、粉ミルク生産を後押しするという。

ホワイトハウスは声明の中で、「粉ミルクメーカーに必要な資源を速やかに届ける」と述べている。「バイデン大統領は国内メーカーに生産体制の強化を求め、国防総省に粉ミルクの輸入を加速するよう指示しました...」

粉ミルク危機は母親と与野党議員の反発を招いている。下院の監視委員会でも調査が行われた。

バイデン大統領は粉ミルク不足の解消を「最優先事項のひとつ」とし、粉ミルク作戦の開始を宣言した。「私は全国の保護者が乳児の健康と成長に欠かせない粉ミルクの不足に直面していることを知っています...」

「私も親として、また祖父として、それがどれほど危機的なことか理解しています」

全米の粉ミルク供給量はサプライチェーンの混乱、リコール、粉ミルク大手アボット・ニュートリションの施設閉鎖などの影響で激減した。

小売業者はひとりあたりの販売量を制限している。一方、医師や医療従事者は粉ミルクを水で薄めたり、SNSで拡散しているDIYレシピを真似ないよう警告し、粉ミルクが手に入らない場合は政府機関や病院に相談するよう呼びかけている。

アボット・ニュートリションのリコールと施設閉鎖は不足に拍車をかけた。同社は今年2月、ミシガン州工場で製造された粉ミルクを飲んだ乳児4人から環境菌が検出されたことを受け、同工場を一時閉鎖した。この乳児4人のうち2人が亡くなっている。

食品医薬品局(FDA)は16日、ミシガン州工場を再開することでアボット社と合意したと発表した。アボット社は2週間以内に同工場の操業を再開できるとしているが、製品が店頭に並ぶまでには6〜8週間かかるという。

またFDAは海外の乳児用粉ミルクの輸入規制を緩和することも合わせて発表した。FDAによると、国内で消費される粉ミルクの98%は国内メーカーが生産しているという。

ホワイトハウスは声明の中で、「FDAの安全基準を満たした」粉ミルクの輸入に力を入れると説明している。

ただし、全国の母親と乳児の手元に十分な量の粉ミルクが届く正確な時期は不明である。

FDAの食品安全・栄養部門の責任者は16日の声明で、「輸入製品が市場に出回るまでには数週間かかる可能性がある」と述べた。

ホワイトハウスは「より多くの粉ミルクをできるだけ早く店頭に並べられるよう努力する」と述べている。

一方、議会下院は連邦栄養プログラムWIC(女性、乳幼児、子供のための特別補助栄養プログラム)の給付対象者に必要な給付金を届けやすくする法案を賛成多数で可決した。

WICは連邦政府の支援プログラムのひとつで、給付対象者は「対象銘柄に指定された粉ミルク」の購入に必要な補助金を受け取ることができる。WICはアボット社のリコール後、粉ミルクの対象銘柄を増やした。

下院はFDAが粉ミルク産業をより良く規制・監督できるようにするため、FDA予算を2800万ドル増やす法案も可決した。

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