◎議事妨害を止めるためには上院の5分の3以上(60票)の賛成を集めなければならず、現在の勢力(民主党50ー共和党50)で阻止することはほぼ不可能。
2022年1月11日/ジョージア州アトランタのモアハウス大学、ジョー・バイデン大統領(Patrick Semansky/AP通信)

1月11日、ジョー・バイデン大統領は上院の議事妨害規則の見直しを求め、上院で行き詰まっている様々な法案を可決させる必要があると主張した。

バイデン大統領はジョージア州の有権者に、「民主主義の行き詰まりを打開するためには上院の在り方を見直さなければならない」と訴えた。

連邦議会の上院議員は法案に反対する権利を与えられており、ひとりでも法案に反対する議員がいれば議事妨害(フィリバスター)が発動する。

議事妨害中、議員は好きなだけ演説を行うことが可能で、ひとりで20時間以上しゃべり続けた議員もいる。これを阻止するためには上院の5分の3以上(60票)の賛成を集めなければならず、現在の勢力(民主党50ー共和党50)で阻止することはほぼ不可能と考えられている。

予算法案に関しては議事妨害の影響を受けない特別なプロセスを使うことができる。ただし、手続きには相応の時間がかかる。なお、州議会に議事妨害規則はない。

バイデン大統領は演説の中で、「州議会は過半数で法案を可決することができる」と述べ、連邦議会も州議会と同じ規則にすべきと主張した。

しかし、共和党は全会一致で規則の見直しに反対しており、「議事妨害規則を見直す法案」は議事妨害を回避できず廃案になることがほぼ確定している。

民主党は警察改革、選挙法改革、移民法改革などを含む様々な改革法案を議会に提出しているが、共和党員少なくとも10人の賛同を得られた法案は限られている。

バイデン大統領は民主党の一部の中道右派が見直しに反対していることについて言及し、「すべての上院議員は民主主義と新たな時代のために、自分の立ち位置を明確にしなければならないだろう」と述べた。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官はバイデン大統領の演説後、「上院の不確実性を高め、分裂を深め、分断を煽り、議会に対する信頼を損なう60票ルールを見直す必要がある」と声明を発表した。

バイデン大統領は規則の見直しに反対する取り組みをジム・クロウ法をもじって「ジム・クロウ2.0」と呼び、共和党を厳しく批判した。「ジョージア州の選挙権を守るために前大統領に立ち向かう勇気を示した共和党員はひとりもいません...」

ジム・クロウ法は1964年まで存在した人種差別を含む南部の州法である。

共和党のミッチ・マコーネル上院少数党首はバイデン大統領の発言に強く反発し、「民主党の大統領は人種差別を煽り、米国を汚した」と非難した。「現職大統領は憎悪を煽り、国を統一したいようです...」

ジョージア州は昨年、物議を醸す投票制限法を施行し、広範な論争と非難を巻き起こした。MLBは2021年のオールスター戦をアトランタからコロラド州に変更し、ハリウッドの一部のスタジオもジョージア州の撮影スタジオから撤退すると発表した。

映画やドラマの制作はジョージア州に毎年約100億ドル(1兆1,000億円)規模の経済効果をもたらしている。

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