◎上下両院は予算の失効直前に法案に合意し、連邦博物館、国立公園、政府のコロナ対策プログラムを含む政策と公共施設は12月初旬まで維持されることが決まった。
2021年9月30日/ワシントンD.C.議会議事堂、民主党のナンシー・ペロシ下院議長(Andrew Harnik/AP通信)

9月30日、ジョー・バイデン大統領は12月初旬まで政府の予算を維持し、連邦政府の部分的な閉鎖を回避する予算法案に署名した。

上下両院は予算の失効直前に法案に合意し、連邦博物館、国立公園、政府のコロナ対策プログラムを含む政策と公共施設は12月初旬まで維持されることが決まった。

この法案には南東部地域を襲ったハリケーンの支援とアフガニスタン難民の再定住に向けた資金も含まれている。

バイデン大統領は予算の失効に伴う閉鎖が始まるわずか数時間前に法案に署名した。これにより、連邦政府職員数十万人の給与は保証され、コロナ禍の真っただ中に医療サービスが機能不全に陥るという異常事態は防ぐことができた。

米主要メディアによると、法案が通過しなかった場合、連邦政府の医療職員の約43%が10月1日以降自宅待機を余儀なくされる可能性があったという。

上院は法案を賛成65ー反対35、下院は賛成254ー反対175で可決した。

バイデン大統領の経済政策をめぐる民主党と共和党の激しい駆け引きは続いており、数カ月前に上院の超党派が可決した約1兆ドルのインフラ法案は下院で待機を余儀なくされ、移民関連の法案を含むバイデン大統領の多くの政策に深刻な影響を与えている。

民主党のナンシー・ペロシ下院議長は30日、「バイデン大統領の10兆ドル(約1,100兆円)のインフラ法案は前進する」と力強く語った。

下院民主党は8月、気候変動対策や社会のセーフティネット拡充を含む3.5兆ドル(390兆円)のヒューマンインフラ法案を可決したうえで、「上院共和党がこの予算法案を支持すると約束しなければ、1兆ドルのインフラ法案は審議入りしない」と脅迫した。

バイデン大統領は別の差し迫った問題にも悩まされている。

ジャネット・イエレン財務長官は今週、アメリカの債務残高は10月18日までに借り入れ可能な上限(28.4兆ドル)に達すると述べた。

アメリカが債務不履行に陥る可能性はほぼゼロに等しいが、一連の問題はコロナ禍で厳しい状況にある国の経済にダメージを与え、景気後退を引き起こし、失業者を含む連邦政府の支援に依存している数千万人への支払いに影響をもたらす可能性があると懸念されている。

下院は先週、債務の制限を2022年12月まで一時停止する法案を可決した。しかし、上院共和党は民主党の数兆ドルの予算法案と債務限度額の引き上げを阻止すると誓っており、この法案はほぼ確実に阻止される見込みである。

上院民主党は共和党の議事妨害(フィリバスター)を阻止するために賛成票を60票集めなければならず、現在の勢力(民50ー共50)でこれを達成することはほぼ不可能である。

<国の総債務残高(対GDP比)ランキング:2021年4月時点>
1位 ベネズエラ 304.13%
2位 スーダン 262.52%
3位 日本 256.22%
4位 ギリシャ 213.10%
5位 エリトリア 184.70%
17位 アメリカ 127.11%

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