◎サンダース氏は労働法に基づき企業を監視・監督する上院委員会の長である。
米国のサンダース(Bernie Sanders、民主党)上院議員が小売り・IT大手アマゾン・ドットコムに対する調査を開始すると発表した。現地メディアが20日に報じた。
民主社会主義者を自負するサンダー氏はアマゾンを「米国史上最も危険な雇用主のひとつ」と呼び、上院委員会が最近公表した報告を引用した。
アマゾンはこの主張に同意しかねると反発している。
サンダース氏が引用した報告書はアマゾンの倉庫で労働災害が多発していると述べている。
アマゾンの広報担当は20日、公式ホームページに声明を投稿した。「同社は2019年以降、安全性向上のために10億ドル以上を投資し、その結果、米国内における労災負傷者を23%減少させました...」
「同社は従業員の安全と健康をとても大切に考えています。常に改善は必要と認識していますが、私たちはこれまでの歩みを誇りに思っています」
しかし、サンダース氏は連邦上院委員会で公表されたデータを引用し、「アマゾンの2022年の労災負傷率は他社より70%も高い」と指摘している。
労働省の規制当局も一部の倉庫の運用状況をめぐり、同社に改善勧告を出している。アマゾンはこの勧告を不服とし、訴訟も辞さないとしている。
連邦議会はパンデミック以降、労働者の扱いをめぐってアマゾンへの監視の目を強めており、今回の上院調査はその一環である。
イングランド中部コベントリーのアマゾン労働者数百人は現在、ストの真っ最中である。この労組は最近、アマゾン幹部が不正に手を染め、労働者を搾取していると告発した。
サンダース氏は2020年の民主党大統領予備選でバイデン(Joe Biden)大統領と激戦を演じ、トランプ(Donald Trump)前大統領から「最も危険な左翼」と恐れられている。
同氏は以前から賃金などをめぐってアマゾンを痛烈に批判。この調査が米国の最低時給を15ドルに引き上げる計画(未達)に一役買っていると主張している。
AP通信はサンダース氏がアマゾンに調査を通知した書簡を引用している。「貴社は利益を追求するため、毎年何万人もの労働者に安全でない環境、持続不可能な速度で働くよう強い圧力をかけています...」
サンダース氏は労働法に基づき企業を監視・監督する上院委員会の長である。
今年初めにはワシントンD.C.で公聴会を開き、コーヒーチェーン大手スターバックスのシュルツ(Howard Schultz)会長に対し、労組結成に投票した労働者に圧力をかけたとする問題について説明するよう求めた。
現地メディアによると、サンダース氏はアマゾン幹部向けの公聴会を開く可能性があるという。