◎この協定はインド太平洋地域における中国の影響力に対抗することを目的としている。
2023年3月13日/米カリフォルニア州サンディエゴ、左からアルバニージー豪首相、バイデン大統領、スナク英首相(ロイター通信)

英豪の首脳が13日、カリフォルニア州サンディエゴで会談し、安全保障枠組み「オーカス(AUKUS)」に基づき、次世代潜水艦の艦隊を創設する新たな計画を発表した。

豪はまず、米国の原潜3隻を購入し、イギリスの次世代潜水艦建造に移行する予定だ。

この協定はインド太平洋地域における中国の影響力に対抗することを目的としている。

バイデン(Joe Biden)大統領は豪に売却する原潜について、「核兵器を搭載するものではない」と強調した。

協定によると、豪海軍の隊員は今年から米英の潜水艦基地に派遣され、潜水艦の操作などに必要なスキルを身につける予定。

米英は2027年以降、サウスオーストラリア州パースにある豪海軍基地に原潜を配備し、豪は2030年代初頭に米バージニア級潜水艦3隻を購入する。

その後、英海軍は豪海軍と協力して「SSN-AUKUS」と名付けられた次世代原潜を設計・建造する計画だ。

この次世代原潜はイギリスが設計し、イギリスと豪で建造されるが、3カ国すべての技術が使用される。

バイデン氏は「我々は自由で開かれたインド太平洋地域を守るために密に連携・協力する」と語った。

またバイデン氏はロシアと中国を念頭に置き、「オーカスは民主主義国家がこの地域だけでなく世界全体の安全と繁栄を実現することを示す」と述べた。

米国は潜水艦の建造能力を高め、バージニア級潜水艦のメンテナンス技術を向上させるために、今後数年間で総額46億ドルを投資するとした。

アルバニージー(Anthony Albanese)豪首相は、「潜水艦建造計画は何千もの新規雇用を創出する、豪の歴史上最大の投資になるだろう」と語った。

またアルバニージー氏は米英の原潜が導入されることについて、「豪の主権に基づくものであり、豪海軍が指揮を執り、豪の基地で働く自国民によって維持される」と強調した。

米国が核関連技術を他国と共有するのは65年ぶり、史上2回目である。

スナク(Rishi Sunak)英首相は「オーカス誕生からこの1年半、世界の安定に対する挑戦は増すばかりだ」と述べた。「ロシアのウクライナ侵略、中国の覇権主義的な動き、イランや北朝鮮の不安定な行動。これらすべてが危険、無秩序、分裂を引き起こし、世界の安全と秩序を脅かしています...」

スナク氏はこの協定に合わせて、敵対国の脅威に対抗するため、今後2年間で防衛費を50億ポンド近く上乗せすると表明した。

東側はオーカスを「脅威」と指摘し、繰り返し批判している。

中国外務省は先週、オーカスが世界の軍拡を招き、アジア太平洋地域の平和と安定を損なう元凶になっていると主張した。

米国のサリバン(Jake Sullivan)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は13日、欧米諸国がインド太平洋地域で軍事的プレゼンスを高めているという中国の批判について、「米国はこの地域にNATOのような同盟を作るつもりはない」と強調した。

スポンサーリンク