◎ロシアはこの制裁に関与した国との原油取引を停止すると警告している。
ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は3日、ロシア産石油価格に上限を設けるという西側諸国の新たな対ロシア制裁を「弱い」と批判した。
G7とその同盟国が承認したこの制裁は、海上輸送されるロシア産石油の取引価格の上限を1バレル60ドルに設定し、市場価格を5%下回る水準に維持するとしている。
ロシアはこの制裁に関与した国との原油取引を停止すると警告している。
制裁は5日に発効する予定だ。西側諸国は上限価格以上で取引する国にロシア産石油を輸送するタンカーへの保険適用を禁じる。
タンカー保険を取り扱っている会社のおよそ9割が西側企業であり、ロシアは海上輸送においては上限以上での販売が難しくなる。
ゼレンスキー氏はビデオ演説で、「この制裁は弱く、ロシア経済への影響は限定的である」と指摘した。
またゼレンスキー氏は、「ロシアはエネルギー市場を意図的に不安定にし、全世界に大きな損害を与えている」と非難した。「より強力な手段が必要になるのは時間の問題です」
G7主導の計画に署名した国は海上輸送する石油および石油製品について、上限価格以下で取引する場合のみ購入を許可される。
G7財務相は9月にこの制裁を提案していた。
ロシア大統領府のペスコフ(Dmitry Peskov)報道官は3日、「ロシアはこの動きに備えていたが、上限を受け入れることはない」と断言した。
この制裁はロシアにとって大きな痛手となるが、現在ロシア産石油の最大の買い手であるインドと中国は影響を受けないため、両国への輸出量が増加すればダメージは和らぐとみられる。
EUは5日からロシア産石油の海上輸送を禁じる。
国際エネルギー機関(IEA)によると、2021年に輸出されたロシア産石油の半分以上が欧州で取引されていた。最大の輸入国はドイツ。オランダとポーランドがそれに続く。