◎ロシアは原発を含むザポリージャ州全土を強制併合している。
2022年11月20日/ウクライナ、東部ドネツク州バフムート付近、ウクライナ軍の榴弾砲(LIBKOS/AP通信)

国際原子力機関(IAEA)は20日、ウクライナ南部にあるザポリージャ原発の近くで大きな爆発が数十回確認されたと発表した。

IAEAによると、同原発のあるエネルホダルとその周辺への攻撃は19日の夕方頃から始まったという。

IAEAのグロッシ(Rafael Grossi)事務局長は声明で、原発周辺での戦闘を直ちに停止するよう訴えた。

ロシアは原発を含むザポリージャ州全土を強制併合している。

一方、ウクライナ軍は南部ヘルソン州の奪還に合わせて同州へも攻撃を仕掛けているとみられる。前線の戦況はほとんど明らかにされていない。

ロシア国防省は20日、ドニエプル川の対岸に陣取ったウクライナ軍が原発を砲撃したと主張した。ウクライナ政府は声明を出していない。

エネルホダルは数カ月前から何度も攻撃を受けてきたが、IAEAによると、この数週間は遠くで爆発音が聞こえる程度だったという。攻撃は20日の早朝まで続いたようだ。

IAEAはロシア当局者の話を引用し、「原発のいくつかの建物、システム、機器が被害を受けたが、放射能漏れを含む重大事故は確認されていない」と報告している。死傷者もいなかったという。

同原発の原子炉6基はすべて停止しているものの、核燃料と使用済み燃料を冷やすためには外部電源が必要である。

グロッシ氏は原発周辺への攻撃を非難し、このエリア全体を非武装地帯にするよう改めて呼びかけた。

ロシア国営メディアは、ロシア核関連企業ロスエネルゴアトムの関係者の話を引用し、「砲弾15発が原発施設に向けて発射され、核廃棄物貯蔵施設と使用済み核燃料を保管する建物の近くに着弾したが、放射線量に変化はない」と報じている。

ザポリージャ原発は侵攻開始から数週間後に制圧された。

プーチン(Vladimir Putin)大統領は9月にザポリージャ州を含む4州を併合すると宣言したが、ウクライナ軍に南部ヘルソン市を明け渡している。両軍は現在、ドニエプル川を挟んで対峙しているとみられる。

2022年5月1日/ウクライナ、南部ザポリージャ州のザポリージャ原発構内、ロシア兵(AP通信)
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