◎トランスジェンダー選手の女子競技への出場は物議を醸しており、公平性の議論を引き起こした。
女子陸上競技(Getty Images)

ワールドアスレティックス(世界陸上競技連盟)は23日、トランスジェンダーの男性選手について、テストステロンの値に関係なく、女子競技への参加を禁じると発表した。

世界陸連の意思決定会議は23日にこの問題について協議し、トランス選手の女性競技への出場を認めるべきでないという結論に達した。

コー(Sebastian Coe)会長は記者会見で、「思春期を男性として過ごしたトランスジェンダー選手は、3月31日から女性の世界ランキング大会に出場できなくなる」と説明した。

またコー氏は「世界陸連はこの問題について、40の国別連盟、国際オリンピック委員会、トランスジェンダーの団体などの関係者と協議してきた」と語った。

コー氏によると、この問題について協議した個人や団体の大半がトランス選手の女性競技への出場に反対したという。

「多くの人がトランス選手と女性選手は生物学的に同じ立場であるという主張に懸念を示し、身体的優位性が改善されたという研究内容をしっかり精査する必要があると考えています...」

トランスジェンダー選手の女子競技への出場は物議を醸しており、公平性の議論を引き起こした。

コー氏はこの決定について、「スポーツにとって最善の利益であると信じている」と語った。

またコー氏はトランスジェンダーを長とする作業部会を立ち上げ、身体的優位性に関する研究の進展を監視していくとした。

コー氏は「永遠にノーと言っているわけでない」と述べたうえで、「世界陸連は女子競技の公正さを維持することにコミットし続ける」と強調した。「私たちは身体的優位性をめぐる研究を注視し、より多くの証拠を入手できれば立場を見直すかもしれませんが、現時点においては女子競技の公平性と完全性が最も重要であると信じています...」

世界陸連の意思決定会議はトランスジェンダー選手が女子競技への参加資格を得るために「24ヶ月間テストステロン値を血液1リットルあたり2.5ナノモル以下に維持する必要がある」という資格基準について、「今回協議した団体はほとんど支持していないことが明らかになった」と述べている。

同会議は声明の中で、「現在、女子陸上競技に参加するトランスジェンダー選手はおらず、トランス選手が陸上競技の公平性に影響を与えたという証拠はない」としている。「このような結果から、意思決定会議はインクルージョンより公正さと女子競技の完全性を優先させることとしました...」

2018年4月9日/オーストラリア、ゴールドコーストで開催された2018コモンウェルスゲームズ、ニュージーランドのローレル・ハバード選手(AP通信/Mark Schiefelbein)
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