◎サル痘の感染リスクはコロナウイルスに比べるとはるかに低いが、感染者の体液や飛沫に触れると感染する可能性がある。
世界保健機関(WHO)は14日、世界63カ国でサル痘の感染者が9000人以上報告されたことを受け、来週21日に専門家委員会を再招集すると発表した。
委員会はサル痘が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」にあたるかどうか判断する。
WHOのアフリカ地域事務局長は14日、「アフリカ大陸は深刻なリスクに直面している」と指摘した。
サル痘は中央・西アフリカでよくみられる感染症のひとつで、1970年にコンゴ民主共和国で初めて検出された。医療専門家によると、この重症化リスクは低く、感染者の大半は数週間で回復する。死亡率は5~10%。
サル痘の感染リスクはコロナウイルスに比べるとはるかに低いが、感染者の体液や飛沫に触れると感染する可能性がある。また、それに感染した動物の肉(ブッシュミート)をしっかり過熱せずに食べても感染する恐れがある。
WHOによると、アフリカ大陸の今年4月以降のサル痘感染者数は昨年同時期に比べると大きく増加しているが、過去に経験した感染拡大に比べるとはるかに低いという。アフリカのサル痘症例数は200件を超えた。
WHOは6月23日に緊急の専門家委員会を招集し、サル痘がPHEICにあたるかどうかを検討した。
WHOのテドロス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は当時の声明で、「サル痘の感染状況はPHEICのしきい値に達していない」とし、宣言を見送った。
PHEICが宣言されたのは2009年以降で6回。最新は2020年のコロナウイルスである。
WHOはサル痘の注意点を繰り返し呼びかけているが、世界の反応は思いのほか鈍く、頭を悩ませている。
統計によると、今年4月以降に感染が確認された患者の99%が男性で、年齢中央値は37歳。感染者の約60%が男性と性的交渉を持っていた。
テドロス氏は12日の記者会見で、「専門家委員会は流行の傾向や対策の効果を再確認し、国や地域に勧告を行う予定」と述べた。
またテドロス氏は、「WHOは市民社会やLGBTQ+コミュニティと連携し、サル痘に対する偏見に対処し、正しい情報を適切に発信する」とした。
イギリスや米国などでは、サル痘に感染する可能性の高い人への天然痘ワクチン接種が始まっている。サル痘の感染拡大を抑えるためには天然痘ワクチンを使用したのは今回が初めて。