◎プーチン氏はこれまで、「核は他国の核を抑え込む抑止力である」と繰り返し主張してきた。
2022年12月7日/ウクライナ、東部ドネツク州バフムートの住宅地(LIBKOS/AP通信)

ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領は7日、大統領府人権評議会のオンライン会議で演説し、「核戦争のリスクは高まっているが、ロシアは狂っておらず、先制核攻撃はない」と言明した。

プーチン氏は「攻撃を受けたら、反撃する」と述べ、核兵器は国家存亡の危機にのみ使用するという国の方針を強調した。

またプーチン氏はウクライナ侵攻が思うように進んでいないことを認め、「目的達成には相応の時間がかかる」と述べた。

西側諸国はプーチン氏が数日でウクライナを制圧できると踏んでいたと指摘している。

米国の情報機関はロシアの核兵器を監視している。

プーチン氏は核戦争の見通しについて、「脅威は高まっている」と述べ、西側を強くけん制した。

またプーチン氏は「ロシアはいかなる状況においても、核を先制で使用したり、核で誰かを脅したりしない」と主張した。

「我々は狂っていません。我々は核が何であるかを認識しています。それをカミソリのように振り回すつもりはありません」

プーチンは「ロシアは世界で最も近代的かつ高度な核兵器を持っている」と主張し、米国の核戦略を非難した。「我々は戦術核も含めて他国の領土に核兵器を配備していませんが、米国はNATOの同盟国に配備しています」

プーチン氏はこれまで、「核は他国の核を抑え込む抑止力である」と繰り返し主張してきた。

プーチン氏はウクライナで進行中の戦争が長期間に及ぶ可能性があると認めた。

しかし、プーチン氏はすでに重要な戦果を上げたと主張し、ウクライナ東部・南部4州の強制併合に言及した。また、ウクライナ南東部とロシア南西部に面するアゾフ海はロシアの内海になったと主張し、「これはピョートル大帝の夢であった」と述べ、自らを18世紀の支配者になぞらえた。

しかし、ロシア軍は南部ヘルソン州・ザポリージャ州、東部ドネツク州・ルハンシク州を併合したと宣言したにもかかわらず、そこからの撤退を余儀なくされている。

ロシア軍は先月、南部の主要都市であるヘルソン市から撤退。ドニエプル川東岸に新たな防衛線を形成した。

その後、ロシア軍はウクライナ全土に大規模なミサイル攻撃を仕掛け、送電線や発電所を破壊した。

この空爆により、ウクライナのエネルギーインフラは広範囲にわたって被害を受け、気温が氷点下となる中、数百万人が停電下での生活を余儀なくされ、暖房を使えずにいる。

キーウのクリチコ(Vitali Klitschko)市長は7日に公開されたロイター通信のインタビューで、「キーウは終末に直面する可能性がある」と警告した。

クリチコ氏は水と電力インフラへの攻撃が続いていると指摘。ハリウッド映画のような黙示録が起こるかもしれないと述べた。

キーウ市内には暖房付きのシェルターが設置されているが、クリチコ氏は対策が十分でないことを認め、状況が悪化した場合に備えて市外に退避する準備を進めてほしいと市民に呼びかけた。

一方、プーチン氏が参加した大統領府人権評議会は戦争擁護派の委員で固められた。

報道によると、ウクライナ侵攻に疑問を呈していた委員10人が会議前に解任されたという。

欧米政府と情報機関はロシアの戦術核が使用されることを想定して、綿密な諜報活動を進めているとみられる。

戦術核は壊滅的な被害をもたらす大型核弾頭とは異なり、威力を抑えた「使いやすい」仕様になっている。

2022年12月7日/ウクライナ、東部ドネツク州バフムートの住宅地(LIBKOS/AP通信)
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