◎クリミア半島では爆発事件が相次いでいる。
クリミア半島を支配する親ロシア政府は20日、ロシア軍の黒海艦隊を狙ったウクライナ軍のドローンを撃墜したと発表した。
クリミア政府によると、このドローンは南西部セヴァストポリの基地を狙っていたという。被害は出なかったと伝えられているが、詳細は不明。
2014年に併合されたクリミア半島では爆発事件が相次いでいる。
ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は20日、クリミア半島で爆発が相次いでいることに言及し、ウクライナ軍は前線以外の地域へも攻撃を仕掛けていると示唆した。
またゼレンスキー氏はロシア軍に占領されたザポリージャ原発への査察を認めるというプーチン(Vladimir Putin)大統領の決定を歓迎した。ロシアは同原発に配備した部隊を撤退させるかどうかには言及していない。
一方、ロシア国営メディアは20日早朝、ロシア軍の黒海艦隊が駐留するセヴァストポリから煙が上がる映像を公開した。
クリミア政府の指導者はテレグラムの投稿で「ウクライナ軍のドローンを撃墜し、被害は出なかった」と報告している。
それによると、艦隊の防空システムがドローンを検知し、撃墜したという。このドローンは司令部の屋上に墜落したものの、大きな被害はなく、負傷者もいなかったとしている。
さらにこの撃墜の後、防空システムは再びドローンを検知したが、それがどうなかったは明らかにしていない。
セヴァストポリでは18日にも空軍基地へのドローン攻撃が報告されている。
今月初めには西海岸の基地で大爆発が発生し、ロシア空軍の戦闘機少なくとも9機が破壊された。
ゼレンスキー氏は今回の戦争で占領された東部や南部州だけでなく、クリミア半島も奪還すると宣言している。しかし、ウクライナ政府はクリミアで発生した爆発には関与していないと主張している。
ロシアもいくつかの爆発は破壊工作によるものと主張したが、ウクライナ軍の犯行とは明言していない。
欧米の専門家はクリミアの爆発について、「ロシア軍に心理的ダメージを与えている」と分析している。
一方、欧州全土を巻き込む核災害に発展しかねないザポリージャ原発の占領でも動きが見られた。
ゼレンスキー氏は20日の演説で、原発の安全性を回復できるか否かは国連査察団の訪問にかかっているという見方を示した。
プーチン氏は19日、マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領との電話会談で原発査察を支援すると発言した。
ザポリージャ原発を含むザポリージャ州の一部は親ロシア勢力の支配下に置かれている。ロシア軍は同原発に兵器を配備したというウクライナ軍の主張を否定している。
ザポリージャ州の親ロシア指導者は年内にロシアへの編入の是非を問う住民投票を実施すると主張しているため、ウクライナ軍は投票までに奪取したいところだ。
ロシア軍は東部州に対する攻撃も維持しているとみられる。東部ルハンシク州知事は20日、前日の戦闘で民間人少なくとも7人が死亡したと報告した。
一方、18日に首都キーウでゼレンスキー氏と会談したグテレス(Antonio Guterres)国連事務総長は20日、トルコのイスタンブール港を示唆し、ウクライナ南部から穀物を積んだ貨物船2隻が新たに出航したと報告した。
グテレス氏は記者団に対し、「ウクライナの貨物船が深刻な食料不足と飢餓に直面している東アフリカに向かっていることに深く感動した」と述べた。
ウクライナ南部の港を出港した貨物船はこれで27隻となった。