◎ロシアは掃討共同訓練と呼ばれる任務のためにシベリアと極東からベラルーシに大隊を派遣したと伝えられている。
2022年2月5日にロシア国防省が公表した写真、ロシア空軍の核対応長距離爆撃機(Russian Defense Ministry Press Service/AP通信)

2月5日、ロシアはウクライナ東部の緊張が高まる中、同盟国のベラルーシに核弾頭を搭載できる長距離戦略爆撃機2機を派遣した。

ロシア国防省によると、2機のTu-22M3戦略爆撃機はベラルーシ空軍と約4時間、周辺地域のパトロールを行ったという。ウクライナと国境を接するベラルーシは同様のパトロールを国境付近で定期的に行い、NATO(北大西洋条約機構)を威嚇している。

ロシアは掃討共同訓練と呼ばれる任務のためにシベリアと極東からベラルーシに大隊を派遣したと伝えられている。

ロシアはウクライナへの侵攻を否定したうえで、米国とNATOに東欧拡大をやめ、兵器を配備せず、ウクライナのNATO加盟を禁じるよう命じているが、西側はこの要求を拒否している。

西側諸国はロシアが北からウクライナに攻撃を仕掛ける可能性があるという懸念を抱いている。ウクライナの首都キエフとベラルーシの国境は75kmほどしか離れていない。

ここ数カ月、ロシアはベラルーシと共同訓練を頻繁に行い、核弾頭を搭載できる爆撃機を繰り返し派遣し、NATO加盟国のポーランド、リトアニア、ラトビア、そしてウクライナの国境付近をパトロールしている。

ベラルーシの権威主義者アレクサンドル・ルカシェンコ大統領は西側の厳しい経済制裁に反発し、ロシアへの依存を強めている。ルカシェンコ大統領は昨年、ロシアの核兵器を領土内に配備したいと述べ、西側を威嚇した。

一方、ドイツの日刊紙ビルドは5日の記事で、ロシアが複数方向からウクライナを攻撃し、主要都市を占領して傀儡政権を樹立する準備を進めているというレポートを発表した。

ウクライナ当局はロシアの侵攻に備え、市民向けの訓練を行っている。

首都キエフの近郊で行われた訓練に参加した住民のひとりはAP通信の取材に対し、「大切な人と自分の命を守るために訓練に参加した」と語った。「今日は自己防衛と応急処置の基本を教えてもらいました...」

第二の都市ハリコフでは5日、数千人の市民が国旗と共に街頭に立ち、街を守る決意を示した。

デモに参加した女性は地元メディアに、「市民もウクライナを守るために行動すると世界に示したい」と述べた。

米国はポーランドとドイツに米兵2,000人を派遣し、ドイツに駐留していた兵士1,000人をルーマニアに移動させ、NATOの防衛体制強化と必要に応じてウクライナに部隊を派遣する用意を進めている。

ロシアのプーチン大統領は今週、ロシアは米国およびNATOとさらなる協議を行う意思があると示唆した。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は2月7日~8日にロシアとウクライナ、ドイツのオラフ・ショルツ首相も2月14日~15日にロシアとウクライナを訪問する予定である。

イギリスのボリス・ジョンソン首相はマクロン大統領と5日に電話会談を行い、「現在の緊張を外交で解決することが最優先事項であることに合意した」と声明を発表した。

ジョンソン首相の報道官によると、両首脳はNATOの団結を確認したうえで、ロシアがウクライナに侵攻した場合は経済制裁を速やかに発動することに合意したという。

ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は5日に欧州理事会のシャルル・ミシェル議長と会談し、ウクライナ周辺の現状について話し合ったとツイートした。

緊張が高まる中、ウラジーミル・プーチン大統領は北京2022冬季五輪の開会式に先立って中国の習近平 国家主席と会談し、同盟関係を強化した。両首脳は共同声明で、NATOのいかなる拡大にも反対すると宣言する一方、台湾は中国の一部であることを確認した。

2022年2月5日/ウクライナ、第二の都市ハリコフ、ロシアに抗議するデモ(Getty Images/AFP通信)
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