◎西側の指導者はロシアに圧力をかけつつ、対話の道を模索している。
2022年2月1日/ロシア、モスクワの記者会見場、ウラジーミル・プーチン大統領(Yuri Kochetkov/Pool/AP通信)

2月1日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はウクライナ東部で進行中の危機を緩和するための協議に前向きであると語った。

プーチン大統領はハンガリー首相との首脳会談後、記者団に、「米国とNATO(北大西洋条約機構)はロシアの安全保障要求を無視している」と批判したうえで、「すべての当事者がロシアの安全保障の懸念を考慮すれば、危機を緩和することは可能である」と述べた。

プーチン大統領は米国に対し、「解決策が見つかることを願っている」と述べ、ウクライナ東部に配備した10万人規模のロシア軍はいつ動いてもおかしくないという恐怖をあおった。

ロシアはウクライナへの侵攻を否定しているが、西側との交渉は今のところほとんど進展していない。

ロシアは2014年にウクライナ南東部のクリミア半島を併合し、クリミアを「自国の領土」と宣言したが、国際社会はこれを認めていない。

その後、クリミアの北東部に位置するドネツクとルハンシクの分離主義者はウクライナからの独立を宣言した。ロシアは「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認したが、西側とウクライナは分離主義者をテロリストと見なしている。

ウクライナとテロリストの間で勃発したドンバス戦争の犠牲者は14,000人以上と推定されている。東部地域の戦闘は停戦協定ミンスクⅡが締結された2015年以降も続いている。

プーチン大統領は記者会見の中で次のように語った。「米国はウクライナの安全保障をそれほど懸念していないようです...米国の主な任務はロシアの発展を封じ込めることです。つまり、米国にとってウクライナは目的を達成する駒のひとつに過ぎないということです」

「ウクライナがNATOに加盟し、(クリミアを奪還する)軍事作戦を始めると想定してみてください。私たちはNATOと戦わなければなりませんか?この問題を真剣に考えている人はいますか?米国はロシアの提案を無視しています...」

ハンガリーのメディアによると、オルバーン首相は「すべての当事者の懸念を考慮し協議を進める必要がある」と述べ、プーチン大統領に配慮したという。ハンガリーはNATO加盟国だが、ロシアと緊密な関係を構築している。

プーチン大統領は米国とNATOに危機を解決する安全保障条約の草案を提案したが、米国とNATOは1月26日にこの提案を正式に拒否している。

一方、アントニー・ブリンケン米国務長官は1日に行われたセルゲイ・ラブロフ露外相との電話会談の中で、「侵略を計画していないのであれば、ウクライナ東部から部隊を撤退させるべき」と求めた。

西側の指導者はロシアに圧力をかけつつ、対話の道を模索している。

ウクライナを訪問したジョンソン英首相は1日、「ロシアの侵略は軍事的および人道的大惨事につながる」と警告した。

ジョンソン首相はゼレンスキー大統領との共同会見で、「危機の緩和にはロシアの撤退が必要不可欠」と強調した。「ロシアが侵略した場合、ウクライナ軍は反撃するでしょう。ウクライナの国民少なくとも20万人が武装し、侵略に備えています。戦争は非常に激しく、血なまぐさいものになるでしょう」

「戦争が発生した場合、ロシア人は悲惨な現実に直面し、反省することになるでしょう」

ゼレンスキー大統領は、「侵略はウクライナとロシアではなく、欧州とロシアの戦争に発展する」と警告した。

2022年2月1日/ウクライナ、首都キエフの大統領官邸、ゼレンスキー大統領とイギリスのジョンソン首相(Peter Nicholls/Pool/AP通信)
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