◎首都キーウを含む複数の地域指導者がロシア軍のミサイル攻撃を報告している。
2023年1月14日/ウクライナ、東部ドニプロ、ロシア軍のミサイル攻撃を受けたビル(Ukrainian Presidential Press Office)

ウクライナ軍参謀本部は14日、ロシア軍が発射した巡航ミサイル33発のうち21発を撃墜したと発表した。

首都キーウを含む複数の地域指導者がロシア軍のミサイル攻撃を報告している。東部ドニプロでは集合住宅にミサイルが着弾し、ウクライナ当局によると、少なくとも12人が死亡、子供を含む73人が重軽傷を負った。

キーウ、南部オデーサ州、南部ミコライウ州、東部ハルキウ州、西部リビウなどでもエネルギーインフラに被害が出たと報告されている。

国営送電会社ウクルエネルゴは14日、このエネルギーインフラ攻撃を受け、全ての地域の電力供給を制限すると発表。いくつかの地域では停電が発生した。

一方、英政府は同日、陸軍の主力戦車「チャレンジャー2」をウクライナに供与すると発表した。

英首相府によると、スナク(Rishi Sunak)首相はゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領との電話会談でウクライナの防衛を支援すると改めて表明したという。

ウクライナはポーランドとチェコから旧ソ連製の戦車を供与されているが、欧米製の戦車を受け取るのは初めて。BBCニュースによると、チャレンジャーの供与時期は明らかにされていないものの、4両を直ちに供与し、その後8両を追加供与する予定だという。

ロシアは「西側の兵器供与はウクライナの市民にさらなる痛みをもたらす」と警告している。

ゼレンスキー氏は14日に公開した動画で英政府に謝意を示し、「西側の同盟国が必要な兵器を提供してくれれば、民間の被害を食い止めることができる」と語った。

またゼレンスキー氏はドニプロへの攻撃を非難し、救助作業は夜通し続くと報告した。

ウクライナはドイツ陸軍の主力戦車「レオパルト2」と、世界最強と呼ばれる米陸軍の戦車「M1エイブラムス」の供与を熱望している。

ゼレンスキー氏は「ウクライナの兵士は西側の支援を待ち望んでいる」と語った。「民間人を守るために必要なものは同盟国の倉庫にあります...」

一方、ウクライナ大統領府によると、ドニプロの集合住宅に対するミサイル攻撃ではこれまでに12人の死亡を確認し、子供14人を含む73人が重軽傷を負った。

現場には難を逃れた周辺住民が集まり、救助隊の活動を見守った。ウクライナ公共放送によると、地元のボランティアも救助作業に加わり、瓦礫を取り除いたという。

当局によると、これまでに子供6人を含む37人が瓦礫の中から救助された。

ウクライナ公共放送は地元当局者の話を引用し、「集合住宅と最寄りの発電所は少し離れているため、ロシア軍は意図的に団地を狙ったとみられる」と報じた。

米シンクタンク戦争研究所によると、ロシア軍は精度の高いミサイルを使い切り、西側の制裁の影響でミサイルを製造することができず、精度の低いミサイルに頼っている可能性が高いという。

一部のアナリストはドニプロへの攻撃について、「ウクライナ軍の防空システムで撃ち落とされたミサイルが着弾した可能性がある」と指摘しているが、事実か否かは戦争当事者にしか分からない。

ウクライナの送電網に対する攻撃が始まってから2週間が経過した。ゼレンスキー氏は14日の攻撃について、最も困難な状況にあるのは東部ハルキウ州と首都圏と説明した。

国営送電会社ウクルエネルゴは15日の現地時間午前0時まで、すべての地域の電力供給を制限すると発表した。

西側とウクライナの専門家の間ではロシア軍のミサイルが不足しつつあることや、暖冬の影響で暖房需要が低迷していることなどを受け、「ロシアは戦略を見直し、インフラ攻撃を控えるのではないか」という楽観的な見方が広がっていた。

しかし、14日の大規模攻撃はロシア軍がまだこの戦術に効果があると考えていることを示しているようにみえる。

2023年1月14日/ウクライナ、首都キーウで行われたデモ(Bela Szandelszky/AP通信)
スポンサーリンク